詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■詩誌「極光」No.30(2018年12月)

■詩誌「極光」No.30(2018年12月)を御恵送戴きました。感謝申し上げます。
 鷺谷みどりさんの「石膏の彼女」、凄い作品。安部公房の変形譚のよう。有機物から無機物へ、「とうとう前進を脱ぎ終えた/姉のおそろしい/幸福について考えた。」幸福とは何か、存在とは何か、「伸びていく電柱の影と 私と/自分の区別」とは何か。ある日突然、非日常が日常に…変形したのは私なのか姉なのか。詩でこんなことができるのか!
 中筋智絵さんの「七夕」、蝋燭もらい(7月7日もしくは月遅れの8月7日の七夕に北海道で行われる行事)について書かれている。この風習は訪問販売営業の原点ではないかと思われる。子どもながら、断られないかどきどきします。今もまだあるのでしょうか。ほとんどの家はお菓子をくれますが、たまに本当に蝋燭が出てくることもあります。芯を問う、最終行が忘れられない、脳裏に残ります。会社で最近皆に言っています。
 5月25日(土)の「第2回ぽえむ・ライヴin豊平館」にて、トップバッターで朗読をされた石井眞弓さんの「グッド・イブニング」。鍋はみずうみ、鍋の中は戦場であり、具材は戦士。食事とは壮絶な戦いがあったことの証を戴く儀礼であり、燭台があの世とこの世を照らすのか。正装で敬意を示すのか。5月25日、石井眞弓さんの朗読の前後にピアノ演奏をさせて戴きました。石井さんのお洒落なイメージで、コンテンポラリージャズ風でした。
 笹原実穂子さんの「ペル」、「クローンで生き返らせたのよ/一千万円なの」クローン犬は韓国ではすでにビジネスとして成立しているのですね。死んだ犬の複製の依頼は世界各国から来ているという。酪農大学のホームページで読みました。「GLOBE+」の記事では、動画もあります。死んだペットが10万ドルでよみがえる(文字どおり) クローン犬誕生の現場に立ち会った【動画あり】https://globe.asahi.com/article/11651419「もとの犬と同じように動く」と喜ばれるという。 aiboの修理じゃないのですが… 「クローンで永劫に生きなくても/いいよね ペル」
 興味深い御作品ばかりで御紹介しきれません。誠にありがとうございます。

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極光