詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■海東セラさんの個人誌「ピエ」Vol.20(2019.04.10)

■海東セラさんの個人誌「ピエ」Vol.20(2019.04.10)を拝受致しました。心より御礼申し上げます。表紙を開くと本田征爾さんの画「てすさび」横顔の少女が扉に。とても美しい詩誌。
 金石稔さん「(とろける ことば 宇宙 とろける」 詩句の浸みる波動がこの宇宙における言葉の生誕の謎を明かすよう。さらにめくると本田征爾さんの画「猫は花を抱える」横顔の女性。
 渋谷美代子さんの「消息」、あの世とこの世の境界が薄くなる地点を詩句が編み出す。印象的な想い出の場面を浮き出され、いまの視点から輪郭を紡ぐ。
 草野理恵子さんの「おはなし皿」、童話や御伽話は残酷。倉橋由美子さんの『大人のための残酷童話』『倉橋由美子の怪奇掌編』などを想起しつつ、おはなしは繰り返される催眠術であり、恐れは皿に盛られている。普段はその存在を忘れられている。ひっそりと「濁ったまま盛られています。」。本田征爾さんの「花の目」皿のような、耳のような、目が7つ、こちらをじっと見ている。
 海東セラさんのエッセイ「間違えられる日」をとても興味深く拝読致しました。小樽に住んでいた時、あったはずの家や店がなかったり、この間は見つけられなかったのに今日はちゃんとあったり、日常茶飯事でした。下手すると建物だけじゃなく、山や海も、あったりなかったりした。迷路を味わい、浮遊しました。誠に、ありがとうございます!

f:id:loureeds:20190622231402j:plain

ピエ