詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

『孔雀船』vol94(孔雀船詩社編集室 2019年7月15日発行)

■『孔雀船』vol94(孔雀船詩社編集室 2019年7月15日発行)を拝読、こんなに凄い雑誌が日本にあることを、恥ずかしながら今までずっと知らずにおりました。「金榮讃(キム・ヨンチャン)の詩と曺秉浣(チョ・ビョンワン)の絵画展」、「エーリッヒ・ケストナー ナチス支配下を生き抜いた作家は詩人であった」(藤田晴央)、興味深く読ませて戴きとても勉強になりました。
 細田傳造さんの詩作品「ぼくたちの戦争」に書かれているのは、本当のことか、想像の世界のことか、本当のことであったとしても、つい数十年間なのに、別世界のように錯覚してしまう現代が怖い。「俺はちゃんとこの目で見たんだ」という行は、その時代に生きた全員の声であり、私たちが発さなければならない声だ。
 岡田ユアンさんの詩作品「あなたの両の手のひらが」、わたしはあなたであり、右手は左手であり、天は地であり、生は死であり、その向き合う隙間から、無限の色が「あらたな彩りをともなって/あなたに迫ってくるでしょう。」「大地を浄める/透明な朝の使者たち/昨晩、降りつもった想いを/霜柱が押し上げ 風が運んでいく/やがて海に抱きとめられるまで」空は海であり、無限の音を発しつつ、お互いに開かれている。

 

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