詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

『ブレーメン館』No.17(『ブレーメン館』編集部 2019年6月)

■『ブレーメン館』No.17(『ブレーメン館』編集部 2019年6月)を、界兀歩さんよりお送り戴きました。誠にありがとうございます。北海道の知性の結晶である伝説の同人誌。哲学、政治、古典文学から音楽、映画、ドナルド・キーン、独立ユダヤ新聞、シェリングと『秘儀結社』のことまで、大学の研究者の方たちによる知的好奇心を誘う守備範囲の広い論考集。特集は「老いについて」。創刊から17年を数え、同人の高齢化が問題になっている。文学が老いていく、老いを超越していく、界兀歩さんの「詩四編」(「似非異詩界境にて」「まのあたりにしていたのは」「ここのところ」「反歌」)、実験に終わらない機智に富んだ詩篇に老いは感じられず、最先端の批評的精神がここにある。過去を断絶し、忘却した現代を「もういいかい まあだだよう/まのあたりにしていた/奪いとられるがままだった 秋の日/ひとり ひとりを まあだだよう/やみにのこし」(「まのあたりにしていたのは」)、必要に応じて過去の偽物を再生し、検索データとしてのみ蓄積する事態を「とりだされる 似テ非ナル 裏付けられる らーんにんぐ 登録されて いる/ああ (放免される」(「似非異詩界境にて」)照射している。この御作品は「未完継続予定」とのこと。続きがとても、楽しみです。

 

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