詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■小樽詩話会会会報第625号(2019年10月号)

■小樽詩話会会会報第625号(2019年10月号)に拙作「タコの山の」を掲載戴いております。
以前、支倉隆子さんの個人誌「√2通信」《67》2019に寄稿させて戴いたものを、タコ型にレイアウトしたものです。小樽で寝ないで働いていた頃の記憶を手繰って^_^

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「 タコの山 」
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タコの山のような坂道を
ホテルを目指して進みます
来たはずの細い道では
なかなか辿りつけません…
語弊を恐れず申せば
小樽ってそういう街です
事務長時代、塾長と余市スクールへ行く途中
蘭島のあたり
昔、鳥居や櫓があったはずの場所が
どこにも見当たらなくて
「それを探すのが事務長の
人生のテーマかもね」などと言われ
ブラック企業という語彙もなく
朝から朝まで ほぼ二〇時間労働
子どもたちだけが生き甲斐でした
夏期講習の募集爆発して
塾長が社長になった秋
そいつの不正を暴いて刺し違えました
(飲めないのにスナックへ連行されるのが嫌でした)
水族館の駐車場をつき切って
係員に呼び止められて尋ねました
ホテルへはどう行きますか?
くねくねと見慣れた曲がり道は
軟体の触手でしょうか? 
吸盤のゴツゴツ隆起のある
人造石研ぎ出し仕上げの胎内
ぜんぶ手作り 図面は絵です
鉄筋を曲げつつタテヨコに溶接しながら
形づくる彫刻の滑り台
故郷の岩見沢東山公園にもありました
子どもの頃、よく遊びました
…随分前に撤去されました
てっぺんから見下ろす水面は
相変わらず鱗のようにぬめるf:id:loureeds:20191002080515j:image

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