詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■みつべえさんの詩集『そろもん詩抄』(七月堂)

■みつべえさんの詩集『そろもん詩抄』(七月堂)を拝受致しました。心より御礼申し上げます。図鑑のようにずっしり重い! 500ページ近くもあり、目次は巻末にあいうえお順の索引という珍しい詩集です。インターネットという発表の場に限定され、尚且つ「5行詩」という形式に徹底的にこだわった作品集。どのような発表の場に、どのような形式で書くかという新しい試み、又は古い試みを蘇らせる等、器と中身の冒険はあらゆる詩人によって行われるべきと感心致しました。著者ご本人は、以前は紙の詩誌を発行されていたけれど、その後、ネットに発表の場を限定して取り組まれた。「アーカイブとして放置しておいてもやがてサイトの閉鎖やサービスの終了で消滅する」「「あの時とあの場所」に紛れもなく私もいた記念に」今回一冊に纏められた。ウィットの効いた技ありの詩篇、短い言葉から限りなくイメージが広がっていくような詩篇、1ページ1篇なのかなと思いきや、120ページの「そろもん新抄」からはなんと1ページ2篇!膨大な作品の数。頭が下がります。あとがき冒頭を拝見すると、人生最後の詩集となる覚悟で発行されたとのこと。あらゆる人生の瞬間が5行に切り取られて息づいている。強烈に印象に残った一篇をここに。

「 天 」 みつべえ

とんでもない言葉が
空からおちてくる
たぶん そのたかさは
愛のふかさと同じだが
即死なので だれも書き残していない

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