詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

・小林佳美詩集『祈り』(2019年11月10日 文化企画アオサギ) ・坂木昌子詩集『ゆめおんな』(2019年11月16日 文化企画アオサギ)

■文化企画アオサギさんより発行された二冊の詩集を拝受致しました。ご恵送賜り、誠にありがとうございます。
 
・小林佳美詩集『祈り』(2019年11月10日 文化企画アオサギ
・坂木昌子詩集『ゆめおんな』(2019年11月16日 文化企画アオサギ
 
 両詩集に共通するのは、詩人の具体的な身の上が作品群の主題であり、行分けのしっかりした文体で読者にも伝わりやすい、帯文と巻末の解説も執筆されている編集者の佐相憲一さんが詩人を全力で励まし、しっかりとサポートして一冊に編み上げている共同作業であることが垣間見られ、この本の上梓もまた、作品にえがかれるべき人生の事件の一つであるように感じられる、コミュニケーションの成果として読者へ親しみを込めて伝えられる。両側からの視点に寄り添うかたちでの出版形態が執られているように感じられます。
 癌との闘い、存在への問いについて書かれた『祈り』、無給の住み込みで学んだ小説家・有吉佐和子との心の交流がえがかれる『ゆめおんな』(著者の御挨拶文に「私の生きた証として」上梓されたとのこと)。エンディング・ノートの取り組みが流行しておりますが、書き上げて前に進む区切りとしての詩的自分史の試みを経て、コウノトリ科のアオサギは詩人を誕生させ、新しい章へ踏み進ませる手助けを、詩人の人生と全身で向き合い、たぶん原稿はもっと膨大にあったのではないでしょうか。共同作業で厳選された証を感じさせる結晶の二冊。

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