詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■文芸誌「オオカミ」35号(2020年1月号)

■文芸誌「オオカミ」35号(2020年1月号)を拝受いたしました。誠にありがとうございます。

 先ほど、「飛揚」第70号にて、詩とは何かについての荒木元さんの「幻詩論」を拝読した後、この「オオカミ」の「詩はすべてのアートと生活の根底にあります。」との言葉に出会う。UCLAで映画を学んだドアーズのジム・モリソンは「詩こそ最も根源的な芸術である」と語った。

 生活の根底…「心の境内」をえがく佐相憲一さんの作品に注目。境内とは神社・寺院・教会などの宗教施設が占有している土地のこと。この聖域には「国籍はない 国家はない 民族はない 土地はない/宗派はない 団体はない 本庁はない 忠魂碑はない/ただ/ひとりひとりのなかの/じんるい」厳かな自然、森の薫り、「かぜのさざなみ」。人の心をあやつる暗い報道は届かない。

 「フラジャイル」同人でもある福士文浩さんの「東京マジックタイム」、味わい深い景色へと誘う。マジックタイム、マジックアワー、トワイライトタイムとは、夕焼けでも朝焼けでもない。日の入り後の数十分間の時間帯。「東京」「マジックタイム」でGOOGLE画像検索すれば青とオレンジの混じる美しい画像がたくさん検出されるが、それでは味わえない実際の歩行者の感覚を福士さんは幻視させてくれる!「日差しが焼けつくような、スクランブル交差点を歩いていると、巨大な藍色の客船が、突然目の前に現れた。驚くわたしを尻目に、客船は空に浮き上がり、ゆっくりとビル街を抜けて行った。」

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