■詩人・常名トシ子さん（北海道詩人協会会員）より御詩集『道行き』（2019年11月30日発行）を御送り戴きました。心より感謝申し上げます。今多博勝氏による独特な世界観の引き込まれるような美しい装填、立体感のある挿絵。長い道ゆきの向こうに空が見える。「うれしいとか／かなしいとか／そうでないとき／空を みている」（「空」）「晴れたり／曇ったり／流れたりもして／あなたの空はふかまっていく」（「空Ⅱ」）。長い道のりの途中では、息継ぎが必要。何度も機会を逸するけれど、深呼吸が必要だ。深呼吸は中断ではなく永遠と繋がる入口である。「水の中の息継ぎみたいな／あなたの言葉の／そこは／終りと／始まりの予感が／ひそかにむつみあう／場」（「余白」）。人間の存在について、尊厳について、BeingとDoingのあり方について、深い思考へ誘われる不思議な作品「椅子」の全文をここに。
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「 椅 子 」 常名トシ子
息継ぎみたいに
坐った記憶が鮮明で
もしかしたら
わたしという座は
記憶がつなぐ無形の椅子
だから
だれも貸さない
借りられない
