詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■かわいふくみさんの詩集『かおをつくる』(文化企画アオサギ・2020年2月4日)

■かわいふくみさんの御詩集『かおをつくる』(文化企画アオサギ・2020年2月4日)を御送り賜り、拝読させて戴きました。心より御礼申し上げます。
http://aosagipoem.main.jp/archives/1028
「直線は閉じた環(わ)だった」「じぶんを復習(おさらい)する」「たまごでうまれたのですが」「さようなら良い子」など、どの作品もタイトルの付け方が個性的、作品と響き合っているのに惹かれます。
 創作(詩作?)の秘密が明かされるような「ひとつのきっかけ」に注目。「0点も満点もつけない美術教師に/じぶんの目で見ていない と」「そのことばは わたしの どの耳にとどいたのか/静物画も風景画も惨敗だった。」美術教師からお叱りを受ける。どうすれば「じぶんの目」を獲得できるのか? 修行は重ねられる「音楽室に集められ/楽器の音を絵にする授業があった/音を見る目を持たず/ブーイングが楽器の音量を超えた」感覚の垣根をどう行き来すればいいのか。先生についていけない生徒たち。目が常識を捨てるのは難しいということか。目だけでは見えない。「目玉だけが目ではないと/目をつぶって描いたやけくそのものに評価がついた」「やけくそでなく/そういうものを描け と」自作が作者の意図を超えて完成される瞬間のよう。作者の手を離れて完成される作品こそ、良作かもしれない。「きっかけ」を与えるのが教育。長身の教師が「腰を折って」生徒の目線に合わせて伝える。こうして優れた詩人(=見者)の目は獲得されたのか!

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