詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■書肆吉成池内GATE店さんで「フラジャイル」全号をご購入戴いたお客様へ、感謝をこめて。「詩と思想」2018年12月号(土曜美術社出版販売)に掲載 地域からの発信ー北海道 『青芽』から『フラジャイル』へ 

■先ほどツイッターにアップさせて戴きましたが、
昨日、初めてお話する札幌在住の方よりお電話があり「詩誌「フラジャイル」2号から8号までを、池内GATEの書肆吉成さんで買いました。創刊号だけが無かったので、創刊号を送ってください!」という、なんと嬉しきお言葉を戴きました。誠に、ありがとうございますm(_ _)m

(書肆吉成 丸ヨ池内GATE6F店さん(060-0061 札幌市中央区南1条西2丁目18 IKEUCHI GATE 6F)は商業施設の閉館に伴い、6月21日までのご営業となります。現在閉店セール中です!https://twitter.com/y_ikeuchiGATE6F

よって、書肆吉成さんでたくさん「フラジャイル」をご購入戴きましたお客様へ感謝を込めて、
 ・詩誌「フラジャイル」創刊号(2017.12)
 ・杉中昌樹さん発行の〔詩の練習vol.37〕「帷子耀特集」
 ・小誌に関する新聞、雑誌の記事
などを、すぐにお送りさせて戴きました。

・2018年12月号の「詩と思想」(土曜美術社出版販売)に寄稿させて戴きました「地域からの発信」のコピーも、同封させて戴きました。
 「フラジャイル」創刊から2018年9月に行った記念朗読会までの歩みを、初心を忘れぬよう、こちらにアップさせて戴きます。
 
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詩と思想」2018年12月号(土曜美術社出版販売)に掲載

地域からの発信ー北海道

『青芽』から『フラジャイル』へ 
~詩のマチ旭川の再興に向かって 戦後72年詩誌の歴史を受け継ぐ~

■2018年7月、北海道旭川の詩誌『青芽』(せいが)が576号で終刊を迎えました。戦後72年間続き、道内外1500人以上の詩人が参加した詩誌『青芽』。1945年(昭和20年)の終戦で故郷の名寄に復員した富田正一さんが「心の内を自由にできる日がきた」と感じ、詩誌『学窓』を1946年に創刊、その後『七ツ星』、『青い芽』と名前を変え、1955年から『青芽』。当時の同人は150名。1998年に季刊になるまでは毎月発行。富田正一さんが19歳から91歳までの間、人生を懸けて行った一世一代の文化事業。「続けるということ。単純に思えて全く容易くない。」と北海道新聞(2018年9月5日夕刊《道内文学》)にて三角みづ紀さんにご紹介戴きましたが、72年の歴史には膨大な出会いと別れ、喜びと模索の苦労があったことを富田主宰は終刊号に書き記しています。旧国鉄に勤めつつ夜は編集作業の日々。「自分の詩を書く暇なんてなかった…」、国鉄駅長、営業マン、広告会社勤務など、華々しい実務の職歴が詩の活動世界に折り込まれた壮大なタペストリーであり、実生活と詩の折り合いをどうつけていくか、詩人が集い、創作や合評の議論が行われ、発信される常に開かれた磁場を創出する苦労。地域に根づき、『青芽』終刊後も手づくりの『青芽反射鏡』を発行し、使命感を燃やし続けています。
同人の高齢化や編集作業に体力的な限界を感じてきたことから遂に『青芽』終刊を決意され、ただ単に終えるのではなく、若い世代に任せて《後継誌》を創刊させる、それを機にもう一度、旭川が詩の都と呼ばれた時代の輝きを取り戻す・・・壮大な計画を念頭に置いた上での終刊(昨年末には後継誌『フラジャイル』創刊記念朗読会、今年6月17日に『青芽』の終刊祭、9月29日にはジュンク堂書店旭川店での展示や記念朗読会も開催し、詩のマチ旭川は急に活気づいております。)。 綿密に計画された終わりを迎え、同時に新時代を創出させる、そんな文化活動が他にあるだろうかと、驚かされる日々を送って参りました。
 私は前述の後継誌『フラジャイル』代表に任命され、昨年12月に詩誌『フラジャイル』を創刊、3月に第2号、8月に第3号と発行を重ねております。何故私が『青芽』の同人になったかと申しますと……大学のゼミの教官が、安部公房井上光晴倉橋由美子研究の第一人者であった高野斗志美先生(故人・文芸評論家)でした。高野先生の指導のもと、詩作や戦後文学の研究を行い、同人誌を発行していました。社会人になった後は一人でネット上で書いておりましたが、創作に行動との通路を見出したく、二年前、『旭川詩壇史』『続・旭川詩壇史』の著者であり旭川文学資料館長である詩人・東延江さんのお話を聴きに行きました。旭川が文学の街であり、詩の街であった頃…。小熊秀雄や今野大力が有名ですが、萩原朔太郎など中央の名だたる文化人と交流のあった鈴木政輝、旭川詩人クラブの創始者下村保太郎、尾崎翠とも交流のあった松下文子、他にも入江好之、桜井勝美、小池栄壽、中家ひとみ・・・、《大雪山系》の詩人たちが闊歩し、北海道の詩の中心地であった昭和の旭川の、東さんの実体験を交えた貴重なお話を、井上靖記念館で「東延江展」が開催された2016年の11月、旭川文学資料館で行われた講演「昭和初期の旭川の詩人たち」で拝聴し、感銘を受けました。その会場で偶然、富田正一さんに初めてお会いし、お声掛け戴きました。
『青芽』同人に加えてもらい最初の合評会は歴史ある喫茶店「ちろる」(旭川市3条通8丁目)で行われ、文梨政幸さん、本田初美さん、佐藤武さん、荻野久子さん、森内伝さん、現天夫さん、沓澤章俊さんといった先輩詩人のお話をじっくり拝聴、そのレポートを『青芽』574号に書かせてもらいました。これを機に、北海道でいちばん多くの同人を抱える『小樽詩話会』に入会させて戴き、札幌で瀬戸正昭さん主宰の『饗宴』の催しにも参加、先輩方のご高配を賜り、日本詩人クラブ、北海道詩人協会に入会など、ここ2年程は絶え間ない学びの連続でした。2017年4月22日、宮尾節子さんの呼びかけにより札幌市豊平館で行われた「pw連詩組と北の仲間たち」ではたくさんの貴重な出会いに恵まれ、世界が大きく変わりました。
詩誌『フラジャイル』は2017年12月に創刊、創刊メンバーは二宮清隆、山内真名、木暮純と柴田の4名。旭川市まちなかぶんか小屋(旭川市7条通7丁目)にて創刊記念朗読会を開催。市内のあらゆる箇所にポスターを貼り、地元報道関係の皆様による応援もあり、会場満員の盛会となりました。各同人の朗読に加え、小樽から長屋のり子さん、恵庭から村田譲さんも駆けつけてくださり、レベルの高い朗読をご披露戴きました。イルミネーションの雪明り奇跡のような一夜。富田正一さんのご挨拶、私からも詩誌『青芽』の歴史や、『フラジャイル』の誌名由来についてお話申し上げ、旭川の詩精神を大切に次の世代に運ぶための、宅配便の箱に貼る《こわれもの》ステッカーから命名。出荷を宣言致しました。
その2週間後…20代からずっと崇敬の念を持って最新の前衛音楽を追う意識で作品を読み続けておりました、吉増剛造先生が大著『火ノ刺繍』(吉増剛造 響文社刊)を出版される記念イベントが旭川で行われる機会に、響文社高橋哲雄社長のお手伝いをさせて戴き、12月17日、吉増先生と平原一良先生(北海道立文学館理事長)による稀有な対談が行われました。対談を活字化し何度も校正を重ね、詩誌『フラジャイル』第2号に掲載をさせて戴きました。特別寄稿として細田傳造さん(!)の詩作品「タルマエ」が巻頭に。長編詩「O Contradictio」で第55回有島青少年文芸賞最優秀賞を受賞した高校生の吉田圭祐さんの新作も掲載の第2号は2018年3月発行。全国誌『コールサック』やweb詩誌『新次元』の時評、児童文学の専門誌である『季節風』等でも掲載作品の評価を戴くことができました。
『火ノ刺繍』新刊を祝うイベントは5月13日に紀伊国屋書店札幌店、5月15日には北海道立文学館でも行われ、15日の吉増剛造先生、髙橋純先生(小樽商科大学名誉教授)、工藤正廣先生(北海道大学名誉教授)による鼎談を『フラジャイル』第3号に掲載させて戴きました。7月8日には北見市の喫茶「コバルト」にて、金石稔さんの主催による「吉増剛造、〈詩〉、〈語り〉、〈朗唱〉の夕べ」の司会をさせて戴き、伝説の詩人・帷子耀さん、長屋のり子さんのリードで会場全員声を合わせて名作「燃える」「朝狂って」を朗読。鈴木順三郎さん、堀内靖夫さん、熊代弘法さんからもお話を戴き、忘れられない夜となりました(『フラジャイル』第4号掲載予定)。
詩誌『青芽』の終刊祭は6月17日にアートホテル旭川にて行われ、終刊号に本田初美さんによる報告、たくさんの写真掲載。終わりとは思えない、はじまりを祝うかのような明るい集いでした。7月24日の北海道新聞旭川版には「道内最長72年間・「青芽」終刊」の記事に富田さんの言葉「詩はいつも心の支えだった。人生の一つの道しるべが『青芽』だった」が刻まれています。
振り返ると詩誌創刊から1年未満の間に膨大な出会い、皆様からのお導きを賜り、感謝の極み、走馬灯のようです。自身の体験であるにも関わらず、日ごろ企業で人事採用や申請関係の業務に魂を捧げる会社員である私には遠い世界の出来事のように感じられます。その外側からの視点から見ると、仕事に必要なものはステージであり、発表の場としての器、文体や文字といった表現の手段や操る作者だけではなく、器と中身の両方がともに先行し、携わる多くの人の力が無ければ成立しないこと(この視点は、『小樽詩話会』4月の合評会で萩原貢さんより、詩作を茶道に例えて語られた、形式と中身についての貴重なお話を戴いた際に開眼致しました。)、どんな仕事も命がけで挑むだけでは自己満足であり、効果によって評価されること、配慮範囲の広さが問われること等、日々反省しつつ、身をもって学ばせて戴いております。戦後72年間の「心の支え」「道しるべ」としての効果、後進を詩の世界へ誘い込み、地域の活動を活性化させる狙いを達成した『青芽』の流れ。あらゆる過去へのタイムトラベルの無数の入口の集合体が蜂の巣のごとく現存しており、断絶と接続、終焉と開始、点と線の有機化合物として成長し、速度で時代に追いつく追い越すとは関係のない時間軸で、通過と停留が同義である円周の畦を掘り進め、一つの大きなすり鉢状の出口を削り突出させるべく、いま、小さな一歩を踏みしめております。
(詩誌創刊から各種イベント…過密な時を共に戦ってくれる盟友、詩人・木暮純へこの稿を捧げます。)

■連絡先 : 「フラジャイル」代表 柴田望
〒070-0876 旭川市春光6条2丁目5-8 TEL 090-3396-6685
メールアドレス tao81@softbank.ne.jp
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