詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

詩誌「まどえふ」第35号(2021年春)

■毎号、とても楽しみに読ませて戴いております詩誌「まどえふ」第35号(2021年春)を拝受致しました。誠にありがとうございます。
 橋本仁奈さんの「少女」、「絵の中の少女」の絵とは吉川聡子氏による「ソレハ暑い夏ノ日ノコト」という絵である。「声をなくした紙しばい屋さん」など絵本を描かれている吉川聡子さんだろうか。見たこともない絵について書かれた詩を読み、どんな絵かを想像する、その想像された絵は読者によって違う。そもそも読者によって詩の読み方や得られるイメージも違う。絵の見方もそうだろうか。そして同じ人間が同じ詩を読み、同じ絵を見ても、鑑賞する時点までに人生のどんな体験を積んできたかで
何を感じるかは大きく異なるのかもしれない。「蓋」「草」「手」「アスファルト」、詩の中で複数回用いられる同じ語も、出会う度に違う景色へ導いてくれるよう。
 水出みどりさんの「蝶にならなかった娘」衝撃を受ける。大切な人との記憶、幼い笑顔が、再会の驚きの顔が、4人の、長くて短い時間が、一篇の詩の表現に凝縮されている。詩は時間を超える。「蝶にならなかった娘」の「蝶」とは何か。最終連で分かる。涙がこみあげてきました。

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