詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

詩誌「錨地」No.75(2021.3 錨地詩話会)

■詩誌「錨地」No.75(2021.3 錨地詩話会)、拝受致しております。誠にありがとうございます。
 斉藤芳枝さんの「出会い」、映画「メン・イン・ブラック」、黒服の男、エイリアンも登場。上映当時映画館で観ました。伏線だらけの時空と記憶の境を自由に飛び越えるような素晴らしい脚本でした。この映画は決して詩篇の主題ではなく、運命の「カード」。ルノルマンなのか、タロットなのか、「一枚のカードにこめたメッセンジャー」、「カードが拓いた不思議な世界」、「カードが壊す日常生活」。人生は選択に満ちている。選択に対するはっきりとした答えとの出会いに満ちている。詩はその不思議さに届く。
 宮脇惇子さんの「『月化粧』」、年間販売個数1400万個を突破する大阪 青木松風庵のベストセラー和菓子「月化粧」との出合いから連想される、「雪化粧」…「その白さを以て/世界の思惟を静謐に席捲すること」、「月化粧」…「冬の夜のおつかい/雪の原野を銀に輝かせ/―それこそ月のなしたる化粧と呼ぼう」。月の満ち欠け、「歳月」は天体と共に歩む。5月26日のスーパームーン皆既月食は、こちらも夜9時頃には晴れて、夜空にむかってスマホを掲げている近所の人たちがいました。「哀しみの家にも/まぶたの裏にも/あまねく注がれる」、歴史上何度も訪れた人類の危機のときにも、「悼みや哀しみは/光で装われても/なかったことにはできないけれど」…月は伴走、光は注がれていたと気づくのです。

f:id:loureeds:20210529132307j:image