詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

詩誌「ファントム」5号(編集/発行 為平澪 「ファントム」編集室 2021年6月20日)

■詩誌「ファントム」5号(編集/発行 為平澪 「ファントム」編集室 2021年6月20日)を拝受致しました。御恵送賜り、誠にありがとうございます。 
 一色真理さんの「傾いた家ー映画『ヒミズ』(園子温監督・二〇一一年)を読み解く」に、主人公たちが朗読するヴィヨンだけではなく、「白と黒」のコントラスト、「死のフーガ」の連想、再読されるべき詩人パウル・ツェランの名前を発見し嬉しく、衝撃的に注目!「三・一一だけではなく、第二次世界大戦後の世界がかかえる絶望的な危機」は、はっきりと、今も続いていると考えられます。今はどういう時代で、これからはどうなるのか、「現代詩」の現状と未来について、詩はコロナ禍の現状にどう向き合えばいいのか、石川敬大氏による「真摯に「現在」と向かい合った恭次郎」、時代によって書き換えられる教科書ではなく、時代の本当の空気を体現し、後世に残す詩人の「真摯」な仕事、真摯さとは何か、深く考えさせられました。
 「ファントム」5号に収められている詩はどれも深く魅力的で、貴重な勉強をさせて戴きました。世界中が検査結果の数字に覆われている今、金井裕美子さんの詩篇「ランドルト環」を鑑賞、診断結果が正しいかどうかは「わかりません」、不明であるのにも関わらず、子どもの頃から大小あらゆる検査を受け続けている人類に、検査を与えているのはどんな神か…、また、木村孝夫氏による「平和の危機」、時代は常に試験会場にあり、試験官の軍靴の高鳴りが、すでにあらゆる国で聴こえている。やがて解答を書くことすら許されず、鉛筆の芯の折れる音と重なる緊張の響き、私たちは平和ボケしていてはならない。

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