詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■「飢餓陣営」54号 尊敬する小島きみ子さんが今年上梓された、詩集『楽園のふたり』とエッセイ集『現代詩の広い通路へと』のこと(柴田望)

■「飢餓陣営」54号を拝受致しました。誠に、ありがとうございます。こんなに凄い書き手の皆さんの中、大変畏れ多いこと…柴田も寄稿させて戴いております。尊敬する小島きみ子さんが今年上梓された、詩集『楽園のふたり』とエッセイ集『現代詩の広い通路へと』、この二冊への畏敬の念と、初めて拝読した時の感動を、揺さぶられた心の動きを閉じ込めようと試みた拙詩になります。「二〇一一年三月十一日の東日本大震災によって、多数の人間がなすすべもなく儚く死んだ。思考する人間に有るとされた、〈我〉も肉体をあのように簡単に失うことを目の当たりにして、意識の表層のペルソナとともに滅んだとさえ感じた。人間は弱いものだ。その弱さを認めた生き方が承認されるような社会が作られていかなくては、人は挫折したまま立ち上がることができない。」(「6 詩の言葉は前衛でありつつ」『現代詩の広い通路へと』)。小島きみ子さんの詩と評論から波動のように伝えられます「世界のすべてが、大いなる空しさ(vanity)から永遠(eternity)へ変えられていく」人類の歴史の絶望を照射する詩精神の核の光に触れ、つらい過去の私的な出来事の意味が勇気へと変わっていくような体験を覚え、挫折したままではならないと自分に言い聞かせつつ、この拙い原稿を書かせて戴いた日が、ちょうどアメリ同時多発テロから20年の日であったことに気づいたのでした。
 佐藤幹夫さんより貴重な機会を戴き、私が小島きみ子さんから学ばせて戴いた私なりの気づきを宝物として、これからの人生において、人との関わりにおいて、大切にしていきたいという想いを書かせて戴きました。大変恐縮です。心より感謝申し上げます。

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