詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■『大田美和詩集 二〇〇四-二〇二二』(北冬舎)

■『大田美和詩集 二〇〇四-二〇二二』(北冬舎)を拝読させて戴きました。ご恵贈戴き、心より感謝申し上げます。18年間の軌跡。「あなた」に語りかける文体の「Ⅲ恋愛萌芽研究詩集」が、マルグリット・デュラスの会話体にも通じるような哲学的な魅力の作品群で、「あなた」が「あなた」を、「わたし」が「わたし」を超えていくようで、非常に心惹かれました。P64「疼く」は、「殴られたわけでもなく/殴ったわけでもないのに、」リアルな痛みを読者に感知させる作品ですが、痛みをくぐり抜けて、前に進めるような力も感じました。くぐり抜けなければならない。「死者の名誉も回復された。/犠牲は大きかったが、/民主主義は守られた。」(「疼く」)。

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