詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■『風雪という名の鏨~砂澤ビッキ』(酒井忠康著 未知谷)

■『風雪という名の鏨~砂澤ビッキ』(酒井忠康著 未知谷)を拝読させて戴いております。ご恵贈賜り、誠にありがとうございます。作品《風に聴く》(1986年)の写真のページ(P16)にある「自然との交感というのは、自然との和合ではない。一種の畏怖の念が、自己の内部に発酵させる不安と危機の意識と結びついて、自然そのものの力にすべてを捧げる、という神話作用を導き出す。」という言葉に畏怖を覚えております。「夢と現実との境界に投げ出された、ひとりの彫刻家の、その野太い声で天界へ告げられた慟哭の結晶化」。「いずれ鳥の巣から腐食がはじまって、朽ちて斃れる」《四つの風》。腐食も、自然の循環(…自然そのものの力にすべてを捧げる…)も、風雪も鏨。つらい経験は人生に詩を刻むのかもしれません。郷土誌「あさひかわ」を発行されていた渡辺三子さんが、いつも砂澤ビッキのことをお話されていました。ビッキの彫った「あさひかわ」の看板が、東鷹栖支所に展示されています。旭川にお墓のある、砂澤ビッキのことを学びたいと思います。心より感謝申し上げます。

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