詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■詩人ソマイア・ラミシュさんの呼びかけに応え、3月10日までに、日本からはおよそ20人の詩人から作品が寄せられたとのことです。 ご理解を賜り、誠にありがとうございます。

■詩人ソマイア・ラミシュさんの呼びかけに応え、3月10日までに、日本からはおよそ20人の詩人から作品が寄せられたとのことです。
ご理解を賜り、誠にありがとうございます。
ソマイアさんから日本の詩人へのメッセージが3月20日頃に発信される予定です。
https://t.co/c3ubYCSp99

1月15日にこの画像の禁止令がタリバンより発せられました。「日本アフガニスタン協会」に確認したところ、これは事実であり、現地で抗議運動が起きているとのことです。ソマイア・ラミシュさんによると、この発令後に詩人が詩を書くことは極めて危険とのことです。
https://www.afintl.com/202301167500
この発令には詩人が「音楽に似た詩」を書くことを禁ずるとありますが、何に似てるかを誰がどう決めるのか。検閲と抑圧の下で、「Almost all forms of poetry are banned.」実際は、ほぼすべての形式の詩の禁止と同義だと、ソマイアさんは私にメールで教えてくれました。

尚、このタリバンの発令の画像を日本人がSNSやブログにアップするのは初のようです。アフガニスタンではあらゆる形態の芸術と文化活動が既に禁止されていることと、1月15日にこの評決が下されたことが、活動の発端であるとソマイアさんは教えてくれました。

3月13日、タリバンの高等教育大臣による「言葉、文章、または行動によって社会秩序を混乱させようとする者は誰でも、反逆者と見なされ、死刑に処されるべき」との公式スピーチ。「政敵は誰でも拘束、拷問、殺害する」ということを何度も繰り返し明言しています。
https://t.co/owGph18cNn
(ウエッブ・アフガン編集長の野口壽一さんがこの記事を教えてくださいました。ありがとうございます。)

「政敵は誰でも拘束、拷問、殺害」できる社会、
「反イスラム的」な何かを発言することで、いつ殺されるかわからない社会は、現代の日本の社会とは異次元であり、人権の無い世界に見えます。
大学の女子教育は「反イスラム的」で「社会を腐敗させる」、だから排除する。
https://t.co/KUSrOv8Xuu

タリバンアフガニスタン国内における音楽を禁止
「音楽は罪深い」「イスラム教では音楽が禁じられている」
(一部のボーカル入りの宗教作品は例外)
https://t.co/IcpgDjmvf9

タリバンの幹部は、ニューヨークタイムズの取材に対し、「イスラム教では音楽は禁止されている」と語った。
「西洋に洗脳された若者たち」に「殺害も含めあらゆる方法で罰を与える」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210917/k10013258631000.html

岡和田晃さんより、タリバンが目指しているのは「反近代」「反ポストモダン」であるというご指導を戴きました。)

イスラム的」であるということは、ジハードのために死ぬ、英雄幻想の価値観の中で生きることです。
私の祖父は二十歳のとき、同年代の少年たちと同様、ある世界認識のもと、命を捨てることを選び、特攻隊に志願しました。
一つの価値観を信じることが全ての世界を知ることだと騙されていました。

吉本隆明は戦後の混迷のなか、自分は「世界認識の方法」を知らなかったと痛切に自覚し、1955年「高村光太郎ノート」によって戦争責任問題に最初のメスを入れました。

今回、内容として誰が読んでも伝わるような抵抗の詩を書くことはできませんでしたが、詩の内容も規程されないのが本来の自由な詩のあり方と考えました。
書く人によって無限の書き方、読む人によって無限の読み方があります。

最初に現代詩に触れたとき、何だかわからない、どうしても普通の文章のようには読めない。
普通の文章のように読めても普通じゃない、全然わからないけれど、とにかく圧倒される、
この世界のように素晴らしい謎だらけの魅力に感動しました。

私にとっては他者とはそういう難解な詩のような、謎めいた素敵な存在です。自分とは違う他人に憧れ、心惹かれる。「この人はこういう人だ」と決めつけるのは尊重ではなく、理解できない、分からない、未知の無限の情報が他者にはあり、一篇の詩も、そうした存在です。

一つの世界認識の価値観だけを尊重することはとても危険なことです。
「言葉、文章、または行動によって社会秩序を混乱させようとする者は誰でも、反逆者と見なされ、死刑に処されるべき」とタリバン暫定政権のナディム高等教育相は発言しています。
つい二日前のことです。
https://8am.media/eng/the-perpetrators-of-the-destruction-of-the-system-are-liable-to-death-nadim-says/

私はどちらかというと行動するタイプなので、あまり議論をふっかけられることもなく、議論に値する相手とも皆さんから思われていないようですが^^、今回のソマイアさんの呼びかけについて、日本の詩人の皆様の間で、様々な議論があったと伺いました。

また、尊敬する詩人の方々から個人的に「参加しましたよ!」というメールを賜り、嬉しく感じております。心より感謝申し上げます。

先ほど、岡和田晃さんに教えて戴きましたが、Marilyn Hackerほどの著名な詩人が関わっている呼びかけであれば、欧米の文学界ではかなり大きく注目されていることなのではないでしょうか。分析を進めていきます。
https://www.penclub.fr/2023/02/01/les-talibans-interdisent-decrire-de-la-poesie-cest-le-moment-den-ecrire/?fbclid=IwAR2ylauX0PKdf5dWiwNBSmrBy3SKdrG4FWpkYQx-pJccKTI8IREe01HigJU

今回の件につきまして、皆様のご指導を戴きながら、追加の情報をまた発信させて戴く所存です。
Somaia Ramishさんが詩誌「フラジャイル」に十篇の英詩を送ってくれました。
次号の「フラジャイル」やブログのほうにも、翻訳とともに掲載させて戴きます。

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