詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■鎌田東ニ著『悲嘆とケアの神話論: 須佐之男と大国主』(春秋社)

鎌田東二先生の詩集『開(ひらけ)』(土曜美術社出版販売)が今年2月に、そして5月には春秋社より『悲嘆とケアの神話論: 須佐之男大国主』が上梓されました。オートバイ事故で亡くなられたお父様の物語に繋がる詩が印象的な2018年の第一詩集『常世の時軸』(思潮社)から、詩集は早くも5冊目!という速いペースです。鎌田東二という希代の宗教学者・哲学者に一体何が起こったのか、なぜ詩の表現をはじめたのか。どのような考察により行動が選択され、その判断の根源には何があるのか。表向きの情報の皮を剥ぎ、深く切り込んで読むのが真の文学の仕事ではないかと考えます。とても興味深いことです。並行して音楽活動にも力を入れ、何を伝えようとしているのか、という視点から読まれなければなりません。それは「国譲り」で脱領土化し流血を避けた須佐之男命の判断を考察することに関わるのではないでしょうか。日本書紀ギリシャ神話、旧約・新約聖書との交差。現代の日本にとって宗教と社会の関わりを考えていくことは思想の最前線課題の一つのはずです。総ての文学の根源である詩と神話空間への導きに注視していきます。

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