■井嶋りゅうさんの詩集『影』（文化企画アオサギ）を拝読させて戴きました。ご恵贈賜り誠にありがとうございます。ご出版を心よりお祝い申し上げます。一枚のはぐれた百合の花びら、夫が愛した石垣りんの詩集を探す老婆、電車の吸い殻に怒る異国者、壁一面のとんぼの複眼に晒される姉弟、かれらへの異邦人感覚の深い共感の眼差し、詩人の優しい視線に心が洗われました。「五能線を待つ」、建設会社の名前が刻まれた背中の輪郭、今年読んだ詩の中で最も心を動かされた作品の一つです。人は影によって生かされている。影の中で生かされている。影を追いかけ、影に追いつけず、影によって護られている。言葉が見事な影を紡ぎ、その記憶を辿る輪郭を越える感覚の輪廻を詩が拓く。井嶋りゅうさん、詩人の深い優しさを、ありがとうございます！！
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