詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

🌈本日2023年8月9日(木)、旭川ケーブルテレビ「ポテトにこんにちは」に出演させて戴きました。 『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない ~アフガニスタンにおける検閲と芸術の弾圧に対する詩的抗議』について

🌈本日2023年8月9日(木)、旭川ケーブルテレビ「ポテトにこんにちは」に出演させて戴きました。
 『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない ~アフガニスタンにおける検閲と芸術の弾圧に対する詩的抗議』について、発行の経緯や今後の取り組みについてお話をさせて戴きました。MCはRAV Vast奏者のSAYOさんです。貴重な機会を賜り心より感謝申し上げます。

■『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない ~アフガニスタンにおける検閲と芸術の弾圧に対する詩的抗議』(発行所:バームダード/デザインエッグ㈱)

・今年1月15日、アフガニスタンタリバン暫定政権が、国内での「詩作」を禁止する評決を発しました。最初は信じられなかったのですが、日本アフガニスタン協会などに問い合わせたところ、どうも本当のことで、現地で抗議運動が起きているということでした。
 現在オランダに亡命しているアフガニスタンの詩人、ソマイア・ラミシュさんが世界の詩人たちに向けて、タリバンによる詩作禁止令に反対する、抵抗の意思を表明するための「詩を送ってください」というメッセージを発信しました。
 ソマイア・ラミシュさんは元はヘラートの州議会議員ですが、現在はオランダのロッテルダムに亡命中で、バームダード(亡命詩人の家)という組織を創設されています。国際的に活躍している著名な詩人です。
 ソマイアさんのメッセージを私は、アフガニスタンの情報を知るためのウェブサイト、「ウエッブ・アフガン」の野口壽一編集長から教えて戴き、SNSを通して全国の詩人の皆様へお伝えするお手伝いをさせて戴きました。日本からはなんと36作品、世界各地ではフランスやスペインのペンクラブも協力。100作品以上の詩が寄せられました。本当にありがたいことです。フランスではセシル・オウムニさんというたいへん著名な詩人の方が編集され、小樽商科大学の髙橋純先生に翻訳して戴き、11月に書籍出版します。日本では僭越ながら柴田が責任編集ということで『詩の檻はない』を8月15日に発行します。

アフガニスタンは2021年の8月15日よりタリバン暫定政権の支配となりました。先日も国内の美容室が閉鎖されたという報道がありましたが、女性の仕事が奪われ、服装が規制され、外出が禁じられ、教育も女性は小学校までしか受けられない、段階的に女性の自由が奪われています。
 タリバンが考えるところの「イスラム的」ではない西洋の文化・芸術に触れることが犯罪と看做され、私のような活動を普通に行っている者は、アフガニスタンでは捕らえられ、殺されたりする可能性が非常に高いです。大変危険な行為です。

・しかし、日本の憲法には基本的人権の尊重があり、表現の自由の権利が今も保障されています。「詩を書き続けたい」という詩人の想いに共感することは、政治、社会以前の根源的な問題であり、表現の自由が保障され、様々な芸術活動を行ってきた戦後の日本に生きる私たちの常識の感覚で、このソマイア・ラミシュさんを応援したい、メッセージに応えたいという想いで詩が寄せられたのではないかと考えております。

・本当に全国から、大変有名な詩人の方もご参加戴いておりますし、20代、30代の若い詩人の皆さん、それぞれに活躍している方たち、最年少は8歳の大変新鮮で不思議な、魅力的な作品を送ってくれた詩人もおられます。収録されている一つ一つすべての作品が、個性的でその作品にしかない深い表現の広がりがあります。

・海外の詩人の皆さんも例えばクリストファー・メリルさんですとか、本当に有名な方々ばかりです。アメリカやフランス、ヨーロッパの詩人が多いですが、私たちの味方は西側だけではありません。インド、スリランカ、ネパール、モーリシャス、アジア・アフリカなど、世界の東西関係なく、多くの国の詩人が応援してくれています。

・海外の詩人の作品はバームダード(亡命詩人の家)へ送られた作品のうち、英語で書かれた詩を、北大名誉教授の安藤厚先生に日本語へ翻訳して戴き、今回の書籍に掲載しております。11月にはフランスで書籍発行の予定です。バームダードのウェブサイトへも作品掲載の準備が進められており、日本の詩人の作品が世界の詩人たちの作品と響き合う、貴重な交流の機会でもあります。

・北海海旭川市は戦後七十二年間、詩誌『青芽』を発行し続けた詩人・富田正一さんの街です。『フラジャイル』は『青芽』の後継誌です。心を大切にすること、詩人の自由な創作の場を守り続ける姿勢を富田さんから学びました。
 そして旭川市常磐公園に詩碑のある小熊秀雄のTシャツを今日も着ておりますが、私も小熊賞の市民実行委員会の一員ですが、小熊秀雄が言論の弾圧が厳しくなり詩や文学が沈滞していた時代に自由や理想を歌い上げた詩人であることを考えたとき、私も旭川の詩人としてソマイアさんの訴えに対し、何か行動をしなければならないと考えました。
 また、コトバスラムジャパンという全国的な詩の朗読の取り組みがあり、2021年から北海道大会に関わらせて戴きました。三木悠莉さん、遠藤ヒツジさんという詩人の方たちが中心となって取り組まれていますが、全国大会の優勝者は海外のポエトリーリーディングの大会に出場します。こうした世界とつながるコトバスラムジャパンの取り組みに関わらせて戴いたおかげで、海外の詩の動きに目を向けることができたと考えています。
 今年は8月5日に、札幌市中央区の「俊カフェ」さんで、コトバスラムジャパン北海道大会が行われ、本当に感動的な素晴らしい大会でした。旭川詩誌「フラジャイル」も開催に協力させて戴いております。

 『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない ~アフガニスタンにおける検閲と芸術の弾圧に対する詩的抗議』、すでにAmazonにて予約受付中です。おかげ様にて詩の「新着ランキング」の上位で、本日現在第3位という優秀な販売実績でございました。おかげ様にて、誠にありがとうございます。
 8月15日発行ですが、旭川では例えばこども冨貴堂さん、ジュンク堂書店旭川店さん、コーチャンフォー旭川店さんなど、幾つかの書店でもお取り寄せ戴けるようなかたちでお取り扱い戴きます。ぜひご興味をお持ち戴けましたら幸いです。
 また、売上により印税等収益が発生致しましたら、アフガニスタンの文学者・詩人の活動を支える「バームダード(亡命詩人の家)」に全額寄付をさせて戴きます。

■8月24日イベント、「世界のどの地域も夜」について
 『詩の檻はない』発行イベント「世界のどの地域も夜」を、8月24日(木)、時間は15時より、まちなかぶんか小屋で開催します。主催がバームダード、協力がフラジャイル、「旭川教育委員会」の後援を戴いております。旭川市が今回のような、市民の海外との文化交流の活動を理解してくださり、後援してくだるということが、本当に嬉しく、感動的でありがたいことです。
 取り組みに多大なるご支援を戴き、共に活動して戴いております、文芸評論家の岡和田晃さん、詩人の二条千河さんを迎え、また、「フラジャイル」の詩人・木暮純さんと、トークと朗読のイベントを行います。
 本の表紙に、写真家の谷口雅彦さんの写真を使わせて戴きました。そして以前この番組にも出演された、あの素晴らしい『小熊秀雄物語』を出版された漫画家の日野あかねさんもイラストでご参加戴いております。日野さんが書かれたイラストをソマイアさんは大変お喜びでした。
谷口さん、日野さんといった、旭川の素晴らしい才能も集結された一冊となっております。お二人にもイベントにご参加戴きますこの本に参加戴いた詩人の三木悠莉さん、元ヤマサキ深ふゆさんの朗読の動画なども上映させて戴きます。
 この日はSAYOさんにもご出演戴き、演奏のほうと、朗読とのセッションをお願いしております。詩人・佐川亜紀さんの作品「女たちの言葉は水路」という、アフガニスタン中村哲さんのことにも触れられた素晴らしいご作品(「フラジャイル」第17号に収録)を僭越ながら柴田が朗読致しますので、SAYOさんに演奏して戴きます、ぜひ8月24日(木)、まちなかぶんか小屋へご来場戴けましたら幸いです。

■今後の取り組みにつきまして

・詩誌「フラジャイル」第18号を、9月3日頃の発行で準備を行っております。今回はRAV Vast(ラヴァスト)奏者のSAYOさんの特集ページがございます。活動への想いを語って戴いております。お写真も沢山掲載しております。サードアルバムの告知のほうも掲載させて戴きます。ぜひ皆さんご覧戴けましたら幸いです。市内書店等で取り扱い戴きます。

・9月16日(土)に三浦綾子記念文学館での文学講座〈旭川市ゆかりの文学者を知ろう〉「旭川の詩の世界」14時~15時半、僭越ながら柴田が講師をさせて戴きます。 
 詩人による詩の朗読もございます。旭川市はかつては「大雪山系詩人連峰」と呼ばれたほど、多くの有力な詩人が活躍した地域であり、北海道の詩の中心でありました。現在の詩の状況に繋がる先達の活躍を紹介させて戴きます。

・さらに10月15日(日)には、京都大学の名誉教授である鎌田東二先生を迎え、東鷹栖公民館と安部公房有志の会主催の、講演でお話し戴きます。旭川東鷹栖にゆかりのあるノーベル文学賞候補作家であった安部公房は、今年没後30周年となります。文学者、詩人、宗教者、哲学者、ミュージシャンでもある、幅広い活動を行っている鎌田東二先生に安部公房について語って戴きます。

■最後に視聴者へメッセージ

 詩を書くこと、芸術活動が規制されたり、女性の権利が奪われたりという状況は、多様性や人間の生きやすさが追求されるSDGsのような考え方とは全く異なっており、国連や多くの国が批判の声を上げています。反対運動をするということも大切とは思いますが、それ以前に、こうした問題を一人でも多くの方に知って戴き、考えて戴く、北海道旭川という文化圏から、そのきっかけを作っていくことができましたら幸いです。
 本当に日本だけではなく国境を越えて多くの方のご協力を戴いております。心より感謝申し上げます。

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