■8月20日（火）、小樽詩話会の例会にて「生誕100年・安部公房と旭川」のお話をさせて戴きました。午前中、札幌で朝伊ミチルさんと詩集の打ち合わせのはずが、私の仕事の急用のため予定変更させて戴き、15時頃JR小樽駅着。
列車の中で1997年3月終刊のときの「北方文芸」を開いていると、高橋秀明さんが書かれた「かなしき町の歌のしじま」という石川啄木、小樽の「気」についての凄い論考を発見！！ 小樽の石川啄木歌碑の建立事情や、選ばれた歌の理由等について大変詳しく書かれており、どうしても歌碑を見たくなりました。
まずは裏小樽のジーンズショップロッキ（小樽市稲穂４丁目５−１７）へ行き、写真の小樽アオバト情報局缶バッジを購入！売上の一部は小樽の歴史ある街並みを守るための建物の保全に寄付されます。
でも佐幕でもない立場から、忠誠、転向とは何かを問いかけた安部公房の『榎本武揚』を想起するが、今日は安部公房の講演なのに榎本武揚の話は用意できおらず……、すみません、いつか必ず取り組ませて戴きます！！
稲穂でモスシェイクを飲みながら石川啄木歌碑を検索すると、相生町の水天宮。なんとここには河邨文一郎の詩碑もあるようだ。知らなかった…歩いて14分、スマホの指示通り細道を登っていく。
平日の午後だからか、人気はない。歴史ある神社で、お祭りもある。最初に目に入ったのは三ツ谷謡村の句碑。啄木の歌碑は「かなしきは／小樽の町よ／歌ふこと／なき人人の／声の荒さよ」だった。先程読んだ高橋秀明さんの文によれば、建立の際に小樽をけなす歌として市議が難色を示したため、歌碑の裏側に刻まれたはず。「こころよく／我にはたらく仕事あれ／それを仕遂げて死なむと思ふ」の歌碑はここではないのだ。再度スマホ検索し、花園の小樽公園と判明。
そういえば河邨文一郎詩碑はどれなのだろう？ 境内を見渡すとモダンな赤いオブジェのようなものがあり、鏡のようなステンレスに詩「山上の旗」が刻まれている。「実に久しぶりに、傷だらけの心を／ふるさとの海の紺碧に曝す。」…5月に柴橋伴夫さんの講演で知った一原有徳のデザインらしい。換気扇のプロペラのようなものが付いている。ここから見おろす小樽の景色の青空に飛び立つのか。
花園の町をまっすぐ降り、国道を超えてようやく小樽公園、石川啄木の碑に出会う。伊藤整がここで高商石鹸を売ったと長屋のり子さんからメールで伺う。ここからの景色も素晴らしい。坂のある街とない街、海のある街とない街では、人の気質も随分違うように思える。
小樽詩話会の毎月の合評会（5日）、例会（20日）が開催される小樽花嫁センター（小樽市稲穂１丁目）に16時頃到着し設営開始。根深昌博さん、嘉藤師穂子さんと久しぶりにお会いする。啄木の歌碑、河邨文一郎の詩碑へ初めて行ったことなどを報告。
小樽詩話会の皆さんだけでなく、北海道横超会Ⅱの皆様にもご来場戴き、会場長テーブル満席の盛会でありました。小樽で旭川、東鷹栖の安部公房有志の会の活動や近文第一小学校の記念碑のこと、高野斗志美先生、片山晴夫先生のことなどをお話させて戴く貴重な機会を賜り、心より感謝申し上げます。
お話させて戴いたベースは6月15日のサッポロ・アートラボ「サラ」主催の講演内容ですが、
https://fragile-seiga.hatenablog.com/entry/2024/06/18/123535
1997年3月号の「北方文芸」の高橋秀明さんの論のこと、吉増剛造氏が異世界への入口の一つとして35年間大切に持ち歩かれた木ノ内洋二さんのイクパスイのこと、小樽詩話会の例会での先輩詩人からのご指導からの貴重な気づきなど、お話の中で報告させて戴きました。貴重な学びの機会を賜り、心より感謝申し上げます。
