詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■北海道詩人協会 2022北の詩祭✨

■北海道詩人協会 2022北の詩祭✨

日 時:10月23日(日)13:00受付 13:15~16:00
会 場:札幌市教育文化会館(札幌市中央区北1条西13丁目)

・Part Ⅰ 北の詩祭 朗読会
 北海道詩人協会会員による朗読~『北海道詩集2022版』収録作品ほか
  「北の詩祭賞」審査員:三角みづ紀氏 阿部嘉昭

・PartⅡ 朗読トーク形式 講演会
  三角みづ紀氏 お話と朗読・旅に出るように綴っていく
  阿部嘉昭氏 『ふる雪のむこう』の頃・詩作に転機をつくる

・一般の皆様のご参加も歓迎☆(お申込み多数の場合は先着順)
・北海道詩人協会は新入会員を随時受付中です。
https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/dantai/d_0934.html

一般の方の「2022北の詩祭」お申込み/お問合せ poetry.sapporo@gmail.com

(会員は『北海道詩集』に同封のハガキを返信ください。)

主催 北海道詩人協会
企画・運営 「2022北の詩祭」実行委員会

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■ 高野斗志美先生のこと ~《新潮日本文学アルバム》『安部公房』(高野斗志美/編 新潮社 1994年)「北海道文学館報」第130号(公益財団法人北海道文学館)《寄稿・心に残る一冊の本》

■「北海道文学館報」第130号(公益財団法人北海道文学館)、《寄稿・心に残る一冊の本》に、拙文を掲載戴いております。コーナー紹介に「児童文学・詩の分野で活躍する方々から《心に残る一冊の本》についてお寄せいただきました…」とあり、詩の本のほうがよかったのかも。すみません、、
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高野斗志美先生のこと
 ~《新潮日本文学アルバム》『安部公房』(高野斗志美/編 新潮社 1994年)

柴田望(詩誌「フラジャイル」主宰)

 今年は高野斗志美先生(文芸評論家・三浦綾子記念文学館初代館長)の没後20年になります。10年前、2012年には旭川文学資料館にて「高野斗志美展」が行われ、片山晴夫先生、斉藤傑先生、石川郁夫先生の講演に多くの旭川市民が足を運びました。教育者として親しまれた高野先生。旭川大学退職間際の数年間、90年代の後半、大学生の私は研究室に毎週通い、先生のお話に熱中しました。「小説の想像力は現実に追い越された…」現代の閉塞を打破する神話空間構築の可能性について、マルケスの手法、フォークナーや中上健次大江健三郎安部公房の手法…。安部公房評論の第一人者である高野先生が《新潮日本文学アルバム》『安部公房』に書いた「安部公房の作品は、現実をたんに描くのではない。それを破壊するための仮説と実験の空間である。」という一文が、いまの世界の亀裂の断層を照射するようです。

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■10月4日(火)付の「あさひかわ新聞」(北のまち新聞社)に、詩誌『フラジャイル』第15号についてご紹介戴きました。

■10月4日(火)付の「あさひかわ新聞」(北のまち新聞社)に、詩誌『フラジャイル』第15号についてご紹介戴きました。誠にありがとうございます。渡辺宗子さんの追悼特集のこと、経歴や旭川との関りについても。台湾の詩人・羅毓嘉氏の「あなたはまだキーウへ行ったことがない(私も)」(訳・劉靈均 解説:岡和田晃)、同人作品や佐々木虎力さんのことにも触れて戴き、心より感謝申し上げます。

📺詩誌「フラジャイル」第15号、プロモーション動画(YouTube)はこちらです。
https://youtu.be/JF-2wEvF6mk

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詩誌「フラジャイル」第15号 目次
2022年9月
【特別寄稿】
  2  あなたはまだキーウへ行ったことがない(私も)
      作・羅毓嘉   訳・劉靈均  解説:岡和田晃
  【同人作品】
   6  澄川智史  夜想神話          
   8  小篠真琴  新基軸にふれた日  
  10  川嶋侑希  グラビティワルツ     
  12  松本莉鼓  暑中見舞い          
  14  吉田圭佑  夏空           
  16  福田知子  記憶の稜線             
  18  佐波ルイ  鱗が翻った  2022/07/19 03:57   
  20  山内真名  本と映像の日々 36    
  22  菅原未榮  おかあさんの炎  
  24  冬木美智子 鏡文字  
  27  荻野久子  稜線  
  28  追悼・佐々木虎力さん  陸の孤島と海 ―生と死との葛藤―
  30  木内ゆか  クモの郵便屋さん  
  32  福士文浩  グッドモーニング トマコマイ  
  34  木下ヒサ子 ビアガーデンにて・スイッチの入れすぎ
  38  鵜野しのぶ プリン  
  40  星まゆみ   儚き翼  
  43  柴田望   スプーン  
  44  二宮清隆  朱鷺色の薔薇  
  46  金井裕美子 わたしの手のなかにある白い根のようなもの  
  48  木暮純   ヘラヘラ奴に ―隠されたもので顕わにならないものはない  
  50  清水俊司  麻布のカンバス・霧の中
  53  中筋智絵  朝もぎ夕もぎ  
  【「弦」・渡辺宗子追悼特集】
56  渡辺宗子  秋鮭   ・ 58 略年譜(記・佐波ルイ) 
59  細田傳造  波  
60  藤田民子  懸崖―――友、宗子さんへ  
62  木田澄子  只今、ミドリ亀の家、は不在です。  
64  高良勉   北国のひと(詩人)よ―渡辺宗子追悼―    
64  萩原貢   渡辺宗子さんのこと少し         
65  阿部嘉昭  語り替えの柔らかさ  
66  高橋秀明  渡辺宗子の世界  
67  下川敬明  死生を超えて ――渡辺宗子氏に関するメモ  
68  嵩文彦   渡辺宗子さんと渡辺観寿さん      
68  高橋純   水琴を聴く人  
69  若宮明彦  渡辺宗子さんとさっぽろ市民文芸  
70  渡会やよひ 渡辺宗子さん  
71  東出隆   渡辺宗子さんへの追悼詩二篇  
73  長屋のり子 ア ナザ ミミクリ  
75  小川道子  「ホホホ・・・」が聞こえた  
76  櫻井良子  たあいないはなし  
77  本庄英雄  未来を予見した詩人 =渡辺宗子氏を偲ぶ  
79  佐波ルイ  めくるひと 渡辺宗子さん  
85  中島博美  「渡辺宗子」を生ききった、宗子さん  
89  柴田望   世界図書館  
90  金井裕美子 【書評】「白い雲」が湧き上がっている
       小篠真琴詩集『へいたんな丘に立ち』
91 名寄市・北国博物館にて 富田正一さんの資料展示
92 柴田望   【書評】震撼、疾駆する幻
       『群狼疾走』 詩・佐波ルイ 版画・大島龍
93  金石稔    挙句の果てに ――俳諧連歌を読むということ
102  岡和田晃   現代北海道文学研究(五)
       利尻・礼文文学としての村上利雄と大江健三郎          
106  滝本幸大  『夜のお話し会』at鷹栖町図書室内 
             旭川詩人グループ「フラジャイル」による朗読会
109  旭川ケーブルテレビ 『ポテトにこんにちは』 
2022年5月17日生放送
      MC 泉百華さん  ゲスト 柴田望
112  コトバスラムジャパン 2022 北海道大会!
113  受贈図書(御礼)
114  編集後記

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■佐波ルイ『群狼疾走』をよむ *詩人の聲 La Voix des Poètes * 第2120回 日時:2022.10.18(火) 開場:18:30 開演:19:00 終演:20:00 会場:ギャルリー東京ユマニテ(京橋)

🌈詩人・佐波ルイさんによる朗読イベントのお知らせです。
10月18日(火)18時30分、ギャルリー東京ユマニテ(京橋)にて✨話題の詩集『群狼疾走』(地湧社)を詩人が朗読します🐺
皆様へお知らせ申し上げたく、フライヤーを共有させて戴きます。

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佐波ルイ『群狼疾走』をよむ
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*詩人の聲 La Voix des Poètes * 第2120回
日時:2022.10.18(火) 開場:18:30 開演:19:00 終演:20:00
会場:ギャルリー東京ユマニテ(京橋) TeL.03-3562-1305
 東京メトロ銀座線京橋駅下車②番出口徒歩2分警察博物館左折
 〒104-0031 東京都中央区京橋3-5-3 京栄㌱1F
チケット:当日\3,000 予約\2,500
申込/問合せ先:北十字舎/天童大人
TeL:090-3696-7098 Mail:tendotaijinbureau@mbi.nifty.com

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■ 『群狼疾走』(地湧社 2022年3月3日)   詩・佐波ルイ 版画・大島龍

■ 『群狼疾走』(地湧社 2022年3月3日) 
 詩・佐波ルイ 版画・大島龍

 開園55周年を記念して、イメージソング(富田正一さん作詞)に合わせたダンス動画をSNS投稿すると抽選で記念品が贈られるキャンペーンが今話題の旭山動物園に、「オオカミの森」があります。100年前の北海道の自然が再現された円形の放飼場をシンリンオオカミが走り回り、吠える、様々な角度から観察できる施設です。その建物の壁にあべ弘士さんの絵で、アイヌとは共生関係にあったエゾオオカミが本州から渡って来た人間によりいかに駆除され、絶滅へ追い込まれたか、象徴的害獣だったエゾオオカミが消え、次にエゾシカが害獣となる…血塗られた歴史、圧巻の「エゾオオカミ絶滅~北海道の原罪~」が展示されています。
    
 アレハ 叙事詩
   ノヨウナモノ
   我が一族の絵巻物
   だった・ような‥  
   (「五月 芽吹く イノチおどるときに」)
 
 この『群狼疾走』を愛読しつつ、旭山動物園「オオカミの森」建物の内壁にぎっしりと、大島龍さんの版画が描かれ、佐波ルイさんの詩が記されている夢をお告げのように何度も見て、どちらの壁が現実か、あやふやになりつつあります。それは動物園で初めて猛獣を間近に見たときの、あの本能が危険だと訴えるときの、喉を噛まれそうな冷や汗の恐怖が、この本のどのページのオオカミからも迫ってくるのと、言葉が一瞬にして生命の河の根源の核へ、太古へ疾駆するように放つ閃光や、研ぎ澄まされたユーモアが、さらに漆黒の恐怖を煽るからでしょうか。
「ワタクシ」とは誰なのか。オオカミか、麒麟か、紫陽花か、カフカか、セザンヌか、ポール・ニザンか…。呪いの運命の反復を遥かに超えた、区別できない(誰でもない)、生命全体のタペストリーが、聲の主として響いてくるようです。
 
  此の世に
   在ること  心地よく
  キミ*ワタクシ
   受け継ぎ  渡す
   生命 浮かび  沈む  
(「四月 旅立ちの行方 群狼*ヤドリギの下」)

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■『北海道詩集 No.69 2022年版』  (編集発行北海道詩人協会) * 「 沈黙 」 柴田望

■『北海道詩集 No.69 2022年版』
 (編集発行北海道詩人協会)
*

「 沈黙 」 柴田望
*

学校は建物じゃない
会社も建物じゃない
ヒトでもモノでもない
学校も会社も視えない
いじめも視えない
ヒトでもモノでもない
戦争も平和も視えない
絵は描くまで視えない
        …ないの練習

絵といじめと会社と学校
詩の寺は《之》と《寸》
《之》は【ゆく、進む】
《寸》は【手足】
手足を使ってコトバは進む
実体のない心の波を

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■歴史ある文芸同人誌「海峡派」第155号(発行尾人・若窪美恵氏)

■歴史ある文芸同人誌「海峡派」第155号(発行尾人・若窪美恵氏)を初めて読ませて戴きました。御恵贈賜り、誠にありがとうございます。
 古賀博文氏の連載評論「日本語で書かれたアイヌ民族の詩文学Ⅴ」に注目。「日本の先住民族であり、もともと文字を持たなかったアイヌ民族が、明治期以後、同化政策の一環としてアイヌ学校で文字を習得し、それ以後、日本語で書いた詩というものもあるが、それも完全に見落とされてしまっている」「スポットライトを当てて、日本の詩史に加えなければならない」という心情。
 伊賀ふで、チカップ美恵子山本多助、宇梶静江(俳優の宇梶剛士の母)、アト゚イ、萱野茂の略歴と数篇ずつ詩作品の鑑賞。「日本語で書かれたアイヌ民族の詩」…メッセージ性の豊かな作品群を黎明期、揺籃期、現代の三つの時代に分けて考察。「おおらかなユーカラの精神へ」「自然と共存する思想」に誇りと確信を持って、現代社会へ警鐘を鳴らすスタンスへ変遷したという指摘や、日本の詩史が「東京中心の隻眼的な詩史」のままではならないという重要な提言から、貴重な学びを得ることができました。心より感謝申し上げます。