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「　顔　」　　
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この詩集に所収の「顔」十七篇は
かつて道内のある損保代理店窓口で「占いの館」を営み
五、六年で千人以上の霊視を行い
数年前、突然消息を絶った
伝説的占い師Ｓ氏御本人の承諾のもと
三年間の取材を行い、その匿された生い立ちを
題材に書かせて戴きました

「はじめたきっかけは、毎日毎日占いをして
人を助ける夢を見せられたから
相談者のお身内が映像や言葉で伝えてくださるので
それをそのまま伝えるだけ
五歳くらいから頭の中で誰かが教えてくれた
携帯のない時代に〈彼氏はいまどこにいる？〉
友達によく聞かれて当たり前のように答えました
噂を聞いて全国から相談者が訪れました
テレビでしか拝見できないような御顔も
メールでも御顔が見えて
警察の捜査にも協力しました
《きっと》や《思います》じゃなく《必ず》
断言して伝えました
皆さんそれぞれの立場から悩みを抱えていました
悩みにしがみつく方には手放すことを奨めました
ご自分の都合ばかり考えることをやめて
ご家族や友人、お知り合いだけではなく
名前も知らない方にまで優しくなされば
悪運から逃れられます
亡くなられた方に囲まれ　私たちは生かされています
たくさんの御顔に伝えました
私ではなく、ご先祖に感謝してください
誰かのお役に立てたとたん強くなる
ご自分の中にある宇宙へ　つながる茎に感謝してください
つらい分だけ魂を磨ける機会に感謝してください
これからいいことがあります
もうここには来なくていい
占いに依存なさらず　道を拓かれますように
笑顔でお帰りになられますように…」