詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■「詩素」6号(2019年5月)

■「詩素」6号(2019年5月)を戴きました。心より御礼申し上げます。
 巻末には【詩素】とは「第零番目の元素」であり、巻頭には「どんな使い道があるかわからないこの未知の元素」と記されている。ミステリアスなユーモアセンス。
 この詩誌の面白いところは「アンケート」で、「今号の中で優れている、面白いと思うもの」を19名の執筆者が挙げ、その理由も書かれています。短い文章で、どこに注目したかが明白。書き手の視点による一口の批評眼はそれぞれ鋭い。
 「アンケート」で複数の詩人が挙げていた小島きみ子さんの「(楽園のふたり)」 会話体の四連構成、とても切なくて、愛おしい。括弧の使い方も秀逸。何故タイトルが括弧でくくられているのか。優しい両手にそっと包まれているよう。鳥の営みへの優しいまなざしに重ねられる、大切な人への思いやりのまなざし。詩の言葉でしか表現できない親しい映像の情景。
 昨日、道内の詩人が一堂に介するイベントを札幌市豊平館にて主催者として行いました。ともに運営に携わった詩友が先日、母親を亡くしました。そのことを知った先輩詩人の皆さんが「これからはお母さんに守られる。心強いよ」と優しい声を掛けてくださったり、亡くなられた大切な人と鮮明な夢の中で会った…という体験談などが開始前の休憩時間に交わされ、温かいひとときでありました。詩の会はおかげ様で大成功。彼も素晴らしい朗読を披露し、お母様が客席でご覧になられているのではないかと感じました。
 今月、米人気俳優のキアヌ・リーブスが「あなたは我々が死ぬとどうなると思いますか?」とテレビ番組で問われ、「私たちを愛してくれている人たちが、私たちのことを恋しがります。」と答えたとのこと。死者たちの中で私たちは生かされている。
 大塚正志さんの「ダー」、野田新五さんの「袖珍春画本」も生と死の不思議について考えさせられる、とても印象的な作品でした。掲載されているどの作品からも、皆様のエッセイからも、【詩素】を、楽しく、面白く、驚きとともに発見、勉強をさせて戴きました。誠に、ありがとうございます。

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詩素

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詩素