詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■詩誌「飛揚」第68号

■詩誌「飛揚」第68号を葵生川玲様よりご恵送戴きました。誠にありがとうございます。

 東京でご活躍され、今回旭川の「青芽反射鏡」にも参加されてる葵生川氏は、エッセイ「西側の人」を拝見すると、22歳まで北海道滝川市に住んでおられたとのこと。台風や大雨に左右される農業地帯から、商業施設が並ぶ大都会へ。自分の住む場所を起点に、世界を俯瞰する。外側から自部の住む場所を見つめる。どのような世界・時代の中に自分たちが生きているかを知ることの大切さを考えさせられる姿勢表明。鋭いエッセイや書評、詩作品にも表れている。
 

何を殺して、何を生もうとしているのか
夢の東京は
思惑と欲望やらが
日々に
人びとの思想や哲学に代わって
夥しい論考の揺れとなって押し寄せてくる

(葵生川玲「壁の作り方」)

 今回冒頭の詩、東延江さんの「村の記憶=詩人の魂」。地元では「安田のニイチャン」と呼ばれていた詩人・風山瑕生(秋田県出身、旭川師範卒。本名は安田博。)の帰郷を温かく迎える北海道の雄大な自然「都会の疲れを 石狩川の流れにひたし」。


詩人を座らせていた石は
今も
詩人を待つように
流れのなかに身をゆだね
大雪連峯の時刻を数えている

(東延江「村の記憶=詩人の魂」)

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飛揚