■詩誌「パンと薔薇」143(パンと薔薇の会 創刊満50年号・終刊号)を、本庄英雄さんより戴きました。心より御礼申し上げます。「パンと薔薇」が終刊とは、驚き、北海道の詩を牽引してきた詩誌が次々と廃刊に追い込まれていくことの危機感…しかし、この終刊号を開きますと、実力のある同人の皆様による詩祭のような終刊号に仕上がっている。
創立同人である坂本孝一さんによる「哀愁のままに」、「パンと薔薇」の歴史が刻まれている。田中聖海さんの「冬駅」、いまは見ることのできない、道内の古い駅の情景、父母の新婚旅行の写真などを憶いだしつつ。櫻井良子さんの散文詩「時雨虹」に、膨大な記憶の景色、言葉に対するけなげさとは、言葉が喚起する記憶のけなげさや、そのとき会った人たちへのけなげさへ通ずるよう。本庄英雄さんの「11月のコスモス」を拝読、去っていく人の後ろ姿とはコスモスであったのだ。光城健悦氏による本庄英雄さんの詩集『空を泳ぐ』の書評も興味ぶかく拝読、詩は青年の惑いではなく、壮齢からの人生譚とのこと。詩集がこれからの(譚)の基点、そうか、この終刊号も、ある基点なのか。