詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

個人誌「弦」75(2019.9.1)

■渡辺宗子さんより個人誌「弦」75(2019.9.1)をお送り戴きました。誠にありがとうございます。
 嵩文彦さんの「樹の上で」、「私は樹の上に登る鯨を思います。」、空は海より深い、いまだ解明できない謎に満ちている。「枝を空の限りまで拡げた茂みの中を月と星が巡ります。/言葉たちは集って草むらの奥に背をよせ合っています。/私は樹の上の人となって眠っている鯨の横に小さくからだを伸べていようと思います。」、戦後の貴重な蛋白源であった鯨肉。国際的な批判を浴びつつ日本は今年商業捕鯨を再開。「嬉しさが嬉しさだけでこの世に遍満することはありません」。論争から遠い星空で背を寄せ合う鯨と少年。

 渡辺宗子さんの御作品「稲(オリザ)」、人類の起源、農耕の組織のはじまり、歴史を植物の胞子に遡る。「濃密な夢のよう」に「いのちの田園が拓ける。」壮大な景色が織り重なる。

 

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