詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

「まどえふ」第33号(2019年秋 

■詩誌「まどえふ」第33号(2019年秋 「まどえふ」の会)を拝受致しました。誠にありがとうございます。
 水出みどりさんの「夢の責任」、「ちょっと行ってくるから」「どこへ行っていたの?」「どこへ行ったのだろうね」帰る場所があるということ。子どもの頃は「行ってきます」と言っていた。今は誰にも言うこともなく、帰る場所もなく、行った先々で生きて、どこへ向かって、その後どこへ向かうのか、一つのプロジェクトが終わり、喪失を脱却できるのか、戦後は終わっていないのか。
 橋場仁奈さんの「引きぬく」に登場する首のない鶏、仕事に振り回され翻弄され時間に押しつぶされて色のない血を流し続ける現代人のよう。私たちは何を探して惑うのか。首を探していたのか。「光るナタで叩かれ析りたたまれ砕かれて重ねられまた叩かれて/バタバタと飛ぶ、走る、ない首をふって首がない、首がないと血を/ふりまいて走り回る、バタバタとバタバタと叫ぼうとして声は/途切れながら糸を引き起きあがあろう起きあがろうって思うのにまた/倒れる明日にはきっと生き返って目の前を走り回る睡りながら覚めながらうつらうつらと」壮絶に一本の糸を私たちは生きる。

 

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