■坂多瑩子さんの詩集『さんぽさんぽ』（思潮社）、詩誌『すぷん』（書肆かまど屋）を拝読させて戴きました。ご恵送を賜り、心より感謝申し上げます。
一種さくらももこ的な独特な世界観の中、あれっ？という気づきや騙し絵のような、夢の世界のような仕掛けにが至るところにほどこされ、とくに「パイ」という作品がとても心に切なく余韻が残り、励まされます。机の上にふっくらとしたおいしそうなパイ。いつのまにか「私」より若くなった先生がにこにこしてくれるのは貧弱なぼろぼろくずれているパイ。「あなたはだめなのです／ええ ほんとうです／おがくずみたいな子がいっぱい寄ってきて／ほんとうでーす／ほんとうでーす」「うそです／うそです／うそでーす／わたしはいう／元気な声でいう／パイをもっとくださーい」小数点以下が永遠に続く円周率のπのことも想起しつつ。
詩誌『すぷん』には、小柳玲子さんのインタビューや作品も掲載されており、とても貴重！小柳玲子さんについては、私たち北海道旭川の『青芽』同人にとっては、小熊秀雄賞の関係で何度か（二度？）旭川に来られたことがおありとのことで御名前は存じ上げておりました（『青芽』70周年記念号にエッセイを御寄稿戴いております）。「犬小屋でも猫小屋でもいいからちゃんとした家を建てなさい。あなたの家は、玄関がなかったり、窓がとんでもないとこにあったり柱がなかったりする」というお話、文体？いやイメージの構築についてなのか、大変興味深く、勉強をさせて戴きました。誠にありがとうございます。
