詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■詩誌「詩邦人」28(2020年2月15日)

■詩誌「詩邦人」28(2020年2月15日)を拝受致しました。心より感謝申し上げます。同人5名、投稿作品1名参加。あとがきの三村さんの日録も、いつも楽しみに拝読させて戴き、勉強させて戴いております。(ダイヤリー形式、詩誌「饗宴」の瀬戸さんの「林檎屋主人日録(抄)」と「詩邦人」の三村さんの「あとがき」がとても興味深い。昔はもっと他の詩誌にもあったのでしょうか。)
 三村美代子さんの「熟れていく背後」、背後とは「熟れていく」醸成されるものなのか。そして人は「常に背後から呼ばれる」ものなのか。日常で背中から名前を呼ばれる声はどこからやってくるのか。太古からか、過去の記憶からなのか。モス・グリーンの上着のシルエット、色褪せた影絵大きく、「夕景に同化していく後ろ姿」を、この見事な表紙の写真(写真提供:関谷博氏)に重ねる。中村喜代子さんがえがく「ポエム・フェスティバル」の楽しい記憶を、佐藤亜美さんが書かれたクリスマスの夜の大切な人との会話(「窓辺にて」)を、内城恵津子さんの「化石の街」にもたらされた凄惨な戦争の傷跡を通過して、高橋慎吾氏の「ノスタルジア」望郷のルーツを辿る旅路、人類の起源は果てしなく、遥か遠くからここまでの、大切な地点の一つ一つに挨拶をするかのように、声がかけられる。「人は常に背後から呼ばれている/呼ぶ者も また 呼ばれている」「呼ばれ 呼ばれて/傾斜を重ねていく 無防備の背/横断歩道の真ん中で/ふと 立ち止まらせたのは/いったい 誰の行為」

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