詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■詩誌「ア・テンポ」(「ア・テンポ」の会・2019年11月)

■神戸の詩誌「ア・テンポ」(「ア・テンポ」の会・2019年11月)を拝受致しております。誠に、ありがとうございます。詩人・由良佐知子氏の追悼小特集特別寄稿、安水稔和氏の文「あの声が よく通るあの声が」に心打たれる。「あたりまえのようでいて、実は思いがけない。そんなものを見つける。見つけてしっかりと見定める。場への一途なる参入。受け止め受け入れる力。遥かなるものを抱く力。」創作についての言葉のよう。また、由良佐知子氏の「私と詩」という特集より、「私にとって詩を書くことは特別なことではなく、毎日を丁寧に暮らしたいと思う時、詩を書くことによって生活を洗い直しているような気がします。」という言葉が引かれている。〈生活を洗い直す〉。限りある時間を大切に〈丁寧に暮らしたい〉願い。何故詩を書くのか? 問われたときこのような核心的な答えをすぐに返せる詩人はじつは少ないのではないでしょうか。
 山本眞弓さんの詩作品「矜持」も一つの答えを提示している。「矜持」とは、自分の能力を信じていだく誇り。プライド。「秘密のパスワードで繫がる 見慣れない風景聞きなれない言語/時空を越えて拡がる世界 何を求めてここまで来たのか」 古い制度が崩壊し新しいルールに支配される、今まで想像もしなかったような流れが訪れる転換期にこそ、あらゆる時代に鍛えられてきた現在進行形の言語により紡がれる詩の想像力は確実に求められるはず。「朝のコーヒーが舌に残る/小さな体いっぱいに/鳴く鳥よ/見失わないでと/一途の矜持/小鳥に倣って/空に投げよう/ことばのありったけ」。

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