■小樽詩話会の仁木寿さんより『オレンジ色の朝』(私家版)をお送り戴きました。誠にありがとうございます! カラフルな表紙はお孫さんが描かれたとのこと。水色の平仮名「の」はハート。仁木寿さんのお人柄の温かさと実験的かつユーモア溢れる詩篇。俳句への造詣が感じられる、加藤楸邨の句が効果的に引かれた「鬼」、中村草田男の季句が引かれた作品(「風」)にも注目。日本語や数字の神秘に誠実に向き合うご姿勢。小樽詩話会の合評会で、いつも控えめに、恥ずかしそうにお話される仁木さんのお顔が目に浮かぶようです。後半の連作のタイトルは「いのち」。オレンジ色の暁を浴びて、すべての作品に通底する主題の核の一つとして響く、生命の神秘に対峙する瑞々しい感性の風に靡く。
「1グラムの愛情を掬った
この、くすぐったい体温
その生のいけにえは君を
空中分解する狡い小宇宙
仮面の下には甘い友情が
子どもの恥じらいが覗く
有らぬ方向に走り去る恋
新たな感動を呼ぶ孫次郎」
(「佳景」より 仁木寿『オレンジ色の朝』)