■二条千河さんの詩集『亡骸のクロニクル』(洪水企画)を拝読させて戴いております。誠に、ありがとうございます。美しい詩集、「無数の生を宿す一つの世界」としての、「大きな誰かの亡骸」(「Universe」)、「生物の遺骸が分解されて生態系をとこしえに巡っていくように、いずれ灰になる運命の書物(むくろ)にこそ、実は無窮の可能性が秘められているのではないか―」(「あとがき」より)。詩人が死と生の本質的な構造のイメージを詩の言葉で幻出させる、地球上の生と死の壮大な営みの一部であることを、読む者に実感させる確かさが、この詩集には満ちている。
愛おしき登場人物の日常との大切な心の関りから廃駅をえがく「駅長」、詩による字解が試みられた「祈りの象形」にも新たな可能性を感じました。「すべてが化石になるわけではない ことを」(「化石」)この御本から教わりました。時を超える人類の旅を、生命に響く実感を戴き、心より感謝申し上げます。