詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■勝嶋啓太さんの新詩集『向こうの空に虹が出ていた』(文化企画アオサギ 2021年8月3日)

■勝嶋啓太さんの新詩集『向こうの空に虹が出ていた』(文化企画アオサギ 2021年8月3日)、御出版、おめでとうございます!!
 お送り賜りました今月、二回ほどじっくり拝読させて戴き、ゴジラ(山?)、ガメラ(海?)、ラドン(空?)・・・愛すべき昭和の怪獣たちとの再会に歓び、ウルトラマンの怪獣たちも憎むべき敵のはずが、玩具屋に並び、子どもたちに愛されていました。大人になった子どもたちにも「心の拠り所」として愛されています。子どもの頃に読んだ絵本、『かいぶつになっちゃった』(木村 泰子 著)を想起します。それは、森の奥に棲むという恐ろしい怪物に対抗するために、森の可愛らしい動物たちが体をくっつけあい、怪物になり、元に戻れなくなってしまい、仲間たちに恐れられてしまうというお話でした…。勝嶋啓太さんの長詩「かいじゅうとぼく」においても、「疎外」が大きなテーマになります。同じ疎外感を持つ仲間との触れ合いが、「心の拠り所」となり、恐ろしさが愛おしさに変わるきらきらした時間は、永遠には続かないものかもしれないけれど、永遠に心に残る輝きであり、そのために「疎外」される辛い時期はあるのかもしれないと感じました。チャックを下げて、着ぐるみの中でも「かいじゅう」になりたいと思います。昭和の子どもたちにとっての「心の拠り所」である「かいじゅう」への憧れと、輝きを蘇らせて戴いたこと、心より感謝申し上げます。

f:id:loureeds:20210822182250j:image