詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

■「木偶」121号(『木偶』編集室 編集・発行 田中健太郎氏)

■「木偶」121号(『木偶』編集室 編集・発行 田中健太郎氏)を拝受、野寄勉氏の評論「井上光晴の小説『ガダルカナル戦詩集』-本物を読めよ」をとても嬉しく拝読致しました。誠にありがとうございます。「これといったストーリーのない」「主人公は誰でもなく、「詩」そのものである。」(浅田次郎)。「自己を救済する道は、自己を否認することによってしか可能とならない。絶対的な思想との同化による自己脱出という倒錯に満ちた浪漫精神を、わたしは指摘したい」(高野斗志美井上光晴論』)。「〈まるで自分だけが戦争に協力しているようなことをい〉い、秘蔵の佐久間東雄の本を久保宏に献呈しながらも、密かに自傷行為を続け徴兵忌避を目論む」野沢英一の「二心が発する心音の乱れ」を、文芸評論家高野斗志美は「救済と処罰の息づまる絡みあい」「世界と反世界の分裂」と表現しました。『ガダルカナル戦詩集』を収録した講談社の『われらの文学20井上光晴』、『井上光晴論』(高野斗志美)、『ガダルカナル戦詩集』(吉田嘉七)が手元にあります。戦後しばらく経った昭和47年に創樹社から出たもので、小島信夫が「戦争中読んでいたら、感心したかもしれない。」と序文に書いています。

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