詩誌『フラジャイル』公式ブログ

旭川市で戦後72年続く詩誌『青芽』の後継誌。2017年12月に創刊。

2024年1月30日(火)、旭川ケーブルテレビ「ポテトにこんにちは」に出演させて戴き、なんと「小熊秀雄」について、お話させて戴きました。

📺1月30日(火)、旭川ケーブルテレビ「ポテトにこんにちは」に出演させて戴き、なんと「小熊秀雄」について、お話させて戴きました。MCは石川慶太さんです。貴重な機会を賜り心より感謝申し上げます。
 小樽のジーンズショップロッキさんの小熊秀雄Tシャツ👚で出演させて戴きました。日野あかねさんの『漫画詩人小熊秀雄物語』、旭川の市民実行委員会が運営する「小熊秀雄賞」、旭川文学資料館、旭川歴史市民劇、詩碑、検閲の時代を生きた小熊秀雄の詩碑のある旭川の詩人としてアフガニスタンの詩作禁止令に抵抗するソマイア・ラミシュ@SomaiaRamishさんのBaamdaadに連帯した詩誌「フラジャイル」第19号の特集、『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』のこと。最後に「蹄鉄屋の歌」を朗読させて戴きました。
 本日夜と2月中前半にも何度か再放送されます。ぜひご覧戴けましたら幸いです。
*****
小熊秀雄について】
  小熊秀雄旭川にゆかりのある詩人です。小説や童話、漫画の原作も書きました。画家でもあります。
ジャンルを超えたアーティストです。困難な時代に、自由や理想うたい、大胆なエネルギー溢れる作品を書きました。『飛ぶ橇』、『長長秋夜』、『小熊秀雄詩集』、『流民詩集』などが代表作に挙げられます。
 1901(明治34)年9月生(諸説有)。3歳の時に母を失い、稚内樺太秋田県などに移り住み、樺太の尋常高等小学校を卒業後は、漁師や農業、工場など様々な仕事をしています。1922(大正11)年に、お姉さんのハツさんを頼って旭川に住み着き、旭川新聞で記者となり、文才が認められ文芸欄も担当。この頃より短歌や詩作を始めます。
 20歳くらいから昭和3年くらいまでの5~6年くらいの間、旭川で新聞記者として、詩人として精力的に作品を発表し、旭川で大活躍します(当時の旭川の様子が那須敦志さんの脚本に描かれたのが、2021年の旭川歴史市民劇「旭川青春グラフィティ ザ・ゴールデンエイジ」です)。30歳くらいの頃は東京でプロレタリア文学運動に参加し、弾圧検挙に巻き込まれ、逮捕されたり、一時は発表の場を奪われましたが、1934(昭和9)年には詩誌『詩精神』を創刊。「働く詩人」を自称し、書斎派の詩人たちにはない、奔放で大胆かつエネルギーあふれる作品を発表。1935(昭和10)年には『小熊秀雄詩集』を刊行。長篇の『飛ぶ橇』、『長長秋夜』なども発表し、詩人として確固たる地位を確立。以降は当時の口語・日常語を巧みに生かした風刺詩なども残し、様々な新聞や雑誌に詩や、小説、評論などが掲載され、引っ張りだこになっています。1939(昭和14)年には、『愚感詩集』『逍遙詩集』『流民詩集』『通信詩集』と立て続けに作品を発表。旭太郎の筆名で漫画原作も執筆。1940(昭和15)年に原作を担当した漫画『火星探検』(大城のぼる作画)は、日本のSF漫画の先駆的傑作です。
 大正終わりころから太平洋戦争末期にかけて池袋モンパルナスというアトリエ村があり、池袋周辺に在住していた画家や音楽家、詩人などの若い芸術家を集い活動拠点としていました。小熊秀雄がそのアトリエ村を「池袋モンパルナス」と命名し、若者たちの様子を「池袋風景」と題する詩に表現しました。
 当日の日本の文学・芸術の世界で非常に旺盛に活躍し、力強いメッセージ性の強い作品を残し、多く才能と交流した小熊秀雄でしたが、1940年、時代と貧困と病により東京豊島区の自宅アパートで肺結核のため、39歳で亡くなります。追悼号や遺稿詩を様々な新聞や雑誌が掲載。1947(昭和22)年には中野重治の編集で『流民詩集』が刊行されます。
 戦後、1967(昭和42)年に旭川市常磐公園小熊秀雄詩碑が建立され、盛大な除幕式が行われました。詩碑建立をきっかけに、翌年から旭川市で「小熊秀雄賞」文学賞が創設されました。
 小熊秀雄の生涯を、ぜひ、日野さんの漫画で読まれたり、那須さんがプロデュースされた旭川歴史市民劇のDVDをご覧になられますと、映像的にイメージしつつ、小熊秀雄がどんな人生をこの旭川で送ったかということが思い描けると思いますし、岡田雅勝さん、金倉義慧さん、塔崎健二さん、高野斗志美さん…錚々たる方々が小熊秀雄の本を書いています。全集で作品や年表を読んだりしながら、理解を深め、さらに旭川文学資料館に行ったり、常磐公園の詩碑を訪れたり、学びを深めていく喜びを、この旭川で体験できると思います。
日野あかねさんの漫画】 
 昨年の注目すべき出来事として、この「ポテトにこんにちは」にも出演された、漫画家の日野あかねさんが描かれた『漫画 詩人小熊秀雄物語』が出版されました。日野あかねさんは17歳でデビューされたプロの漫画家の先生で(単行本『のほほん亭主、がんになる。』など)、旭川の文化・歴史の魅力、気づきや感動を猛烈なスピードで絵に変えていく…、毎日のように新作をSNSにアップしておられます。2023年7月に『漫画 詩人小熊秀雄物語』刊行!アマゾンKindle版は1,650円(税込)、あいわプリント書籍版は3,300円(税込)。
 ブックマークカフェ、旭川市中央図書館、旭川文学資料館でも日野さんの漫画の展示が開催され、多くの市民が足を運んでいます。詩人・小熊秀雄と言えば壮絶な暗い時代の象徴のように考える方も多いですが、高らかに笑う哄笑の詩人であり、底抜けに明るいユーモアの感性が詩に溢れています。日野さんはその輝きをカラフルな絵で表現し、登場人物たちの青春の煌めきを躍動的に描いています。小熊秀雄が漫画で表現されたことも驚きですが、こんなふうに漫画で描いていいんだ、自分たちのやり方で小熊秀雄を…と、様々なジャンルでそれぞれの小熊秀雄が表現される、次世代のための道を拓いてくれたように感じます。そして、なんとこの漫画の主要人物のお孫さんが、X(旧Twitter)で日野さんの絵を見たのがきっかけで、7月に旭川へ来られ、旭川文学資料館で貴重な写真や資料に触れる喜びの瞬間が溢れ、図書館の展示で記念撮影し、日野さんに感謝をお伝えたされたということがありました。旭川の歴史や文化が現代へ受け継がれていく、現代の人たちに広く伝えられていくということは非常に感動的なことです。
小熊秀雄賞市民実行委員会】
 1967(昭和42)年に、文芸評論家で旭川東高校の先生であった佐藤喜一さんが、第1回目の北海道新聞文学賞を受賞された『小熊秀雄論考』という評論を発表され、小熊秀雄再評価の契機となり常磐公園小熊秀雄の詩碑が建立されました。除幕式には、中野重治、坪井繁治、三浦綾子更科源蔵…、文学界の錚々たる方たちが集い、塔崎健二さんが朗読をされました。翌昭和43年に第1回の小熊秀雄賞がスタート。当時の旭川文化団体協議会が運営し、3回目までは道内の詩人が受賞。4回目から全国賞となり、錚々たる詩人たちが受賞者に名を連ねます。こうした詩の賞の運営も大変なことで、2005年の第40回で終了が発表されたのですが、全国から惜しむ声が相次ぎました。そこで、2006年11月1日、現在の小熊秀雄賞市民実行委員会が、小熊の業績をたたえるとともに、「北の文化」として受け継ぐべく発足しました。
 4月に旭川の扇松園で最終選考会が開催され、4人の最終選考委員の先生方(佐川亜紀さん、アーサー・ビナードさん、松井晶彦さん、堀川真さん)の激論が繰り広げられます。小熊秀雄賞市民実行委会の会員の方は、最終選考の場に立ち会うことができます。「あさひかわ新聞」には毎年特集的に、この小熊秀雄賞の最終選考会の様子が掲載されます。一冊の詩集、一篇の詩を読むということがどういうことか、どの視点から、歴史的、文化的、表現の問題も含めて、小熊秀雄だったらどう読むか。詩の作品そのものの本質について、純粋な議論が交わされる素晴らしい場です。
 5月にはアートホテル旭川で、盛大な授賞式が行われます。受賞者の朗読・スピーチや、記念講演もあります。こちらは会員だけでなく一般の方もご参加戴けます。会員の方にはご案内やお知らせ、会報なども送らせて戴きます。
 小熊秀雄賞市民実行委員会、個人の年会費は2,000円からとなっております。ぜひご入会戴けましたら幸いです。
 事務局・連絡先は〒070-8003 旭川市8条通6丁目あさひかわ新聞内 小熊秀雄賞市民実行委員会、TEL:0166-27-1577になります。小熊秀雄賞の応募につきましては、毎年1月末日が期日。発行詩集5冊をお送り戴きます。応募の要綱はこちらになります。
 今年ももう100冊程寄せられ、私たちは一冊一冊を大切に読ませて戴いております。選考結果は4月中旬、各主要新聞で発表。正賞は「詩人の椅子」1脚、 副賞30万円となっています。
旭川文学資料館・詩碑・「青芽」・「フラジャイル」について】
 旭川にはゆかりのある代表的な井上靖の記念館、三浦綾子の記念文学館があります。そして記念館や文学館はないですけれど、前回この番組でご紹介した安部公房、そして戦前には詩人の小熊秀雄が活躍したことを多くの方に知って戴ければと思います。旭川文学資料館へお立ち寄り戴き、展示室の一番奥に、貴重な資料や、小熊秀雄が書いた手紙、実際に小熊が使用した机なども展示されています。後世に与えた影響の広がりも学べる素晴らしい展示です。常磐公園の文学資料館すぐ裏に、小熊秀雄の詩碑があります。壺井繁治の揮毫で、無題という詩が刻まれています。
 小熊秀雄には旭川に詩や文学の友だち、画家でしたら髙橋北修さんなど、友人がたくさんいたのですが、その中でもとくに親しかった小池栄寿という詩人がいます。旭川や名寄などで教員生活を送りながら詩や短歌の創作を続けた方で、「小熊秀雄との交友日記」という手記を残された方です。大正末から昭和初期に活躍した小熊秀雄をはじめとする文化人や経済人、社会運動家たちが意気盛んに活躍したことが書かれており、大変貴重な資料なのです。その小池栄寿さんから詩を習ったのが、旭川の詩人・富田正一さんです。富田正一さんは戦後72年間、名寄・旭川で『青芽』という詩誌を発行し、詩人たちの発表の場を築きました。旭川市の文化功労賞を受賞されている富田正一さんの『青芽』の後継誌が、「フラジャイル」です。2017年に創刊、昨年2023年12月に第19号を発行致しました。旭川から発信していますが、道内のみならず全国の詩人にご参加戴いております。
【『詩の檻はない』について】
 「フラジャイル」第19号(2023年12月発行)は、アフガニスタンの詩人で、現在オランダに亡命しているソマイア・ラミシュさんのメッセージや作品を掲載しています。アフガニスタンタリバン暫定政権により詩を書くことが禁じられ、映画や音楽も禁止、女性の教育機会や人権そのものが剥奪され、国際的に非常に問題になっています。ソマイアさんが勇気を出して、世界にアフガニスタンの状況を訴え、自由を求めて戦っています。今日ご紹介した小熊秀雄が、検閲の時代を生きた詩人ですから、小熊秀雄の芸術に対する純粋な気持ちを引き継ぎ、私たちは旭川の詩人としてソマイアさんを応援しなければならないと思い、特集を組んでいます。昨年8月15日、日本を含めた世界各国の詩人たちから寄せられた詩を集めた『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』という本を発行しました。この活動について、日本ペンクラブ(獄中作家・人権委員会)、日本現代詩人会からも支持声明を戴きました。現在発売されている思潮社の『現代詩手帖』2月号にこの活動について寄稿させて戴いております(【特集】抑圧に抗して 世界からの声ー柴田 望 「冷笑に抗う声」)。ぜひお読み戴けましたら幸いです。
「フラジャイル」は旭川市内ではコーチャンフォー旭川店、ジュンク堂書店旭川店、こども富貴堂さんで販売中。amazon楽天ブックスでもお求め戴けます。
『詩の檻はない』も、amazon楽天ブックスでも買えますが、旭川では✨こども冨貴堂さんに取り扱って戴いております。ぜひ。
【最後に】
 差別や偏見をなくそう、誰一人取り残さない、多様性を守ろう、という声が世界的に高まり、SDGsの目標となり、あらゆる企業の方々もSDGsのバッジをつけていますが、小熊秀雄は、百年前から多様性を大切にしていました。
 当時の社会的に弱い側、貧しい側に立たされている人たちの味方でした。困難なつらい状況を生きる人たちに対して、小熊秀雄は生きる力を与える声で、人間の根源に向って、詩の言葉を響かせることができました。

f:id:loureeds:20240130172114j:image
f:id:loureeds:20240130172117j:image
f:id:loureeds:20240130172120j:image
f:id:loureeds:20240130172124j:image
f:id:loureeds:20240130172127j:image
f:id:loureeds:20240130172130j:image
f:id:loureeds:20240130172133j:image
f:id:loureeds:20240130172137j:image
f:id:loureeds:20240130172140j:image
f:id:loureeds:20240130172144j:image
f:id:loureeds:20240130172147j:image
f:id:loureeds:20240130172150j:image
f:id:loureeds:20240130172153j:image
f:id:loureeds:20240130172156j:image
f:id:loureeds:20240130172200j:image
f:id:loureeds:20240130172203j:image
f:id:loureeds:20240130172206j:image
f:id:loureeds:20240130172209j:image
f:id:loureeds:20240130172212j:image
f:id:loureeds:20240130172215j:image
f:id:loureeds:20240130172219j:image
f:id:loureeds:20240130172222j:image
f:id:loureeds:20240130172225j:image
f:id:loureeds:20240130172228j:image
f:id:loureeds:20240130172231j:image
f:id:loureeds:20240130172234j:image

 

📖『現代詩手帖』2月号 特集《抑圧に抗して 世界からの声》に、拙稿「冷笑に抗う声~『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』」を掲載戴いております。

📖『現代詩手帖』2月号 特集《抑圧に抗して 世界からの声》に、拙稿「冷笑に抗う声~『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』」を掲載戴いております。ソマイア・ラミシュさんの呼びかけ、8月の『詩の檻はない』の出版、KOTOBA Slam Japanの招聘により実現した12月のソマイアさんの来日、昨年一年間の活動について書かせて戴いております。
 昨年2月、ウエッブ・アフガンの野口編集長よりメールを戴き、タリバン暫定政権によるアフガニスタン国内における「詩作禁止令」に抵抗するソマイアさんのメッセージを知ったとき、古川善盛について調べていた私の手元には、かつて道内の詩の派閥を超えて詩人たちが編纂した『北海道=ヴェトナム詩集Ⅰ』(1965年)がありました。小熊秀雄、今野大力の詩碑のある旭川アフガニスタンの「詩作禁止令」を知り、日本にも詩を書けない時代があったことを想起しました。米軍の撤退したアフガニスタンのメッセージが、米軍が撤退しない日本に届きました。
 タリバン暫定政権にアフガニスタンが陥落した2021年8月15日のちょうど2年後に、私たちは『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』を日本で出版しました。多くの方々のご支援を賜り、日本人詩人36名、海外詩人21名の詩を収めた本を発行することができました。8月24には旭川まちなかぶんか小屋にて、10月15日には横浜市協働スペースにて出版を記念するイベント開催。9月には日本ペンクラブ獄中作家・人権委員会より声明を戴きました。「詩とは思考する自由そのものであり、文学表現の礎である。ソマイア・ラミシュさんの詩による抵抗を支持するとともに、検閲に抗議し、自由の権利を守るために詩作に参加した世界の詩人たちに敬意を表したい。」
https://japanpen.or.jp/post-3327/
 11月、フランス語版『Nulle prison n’enfermera ton poème』のOxybia社からの出版が発表され、2024年1月20ー21日にはオンラインで出版を祝う世界規模のオンラインイベントが開催されました。世界各国から約70名の詩人が参加、日本からも11名の詩人が参加し、朗読とスピーチを行いました。
 12月16日にはKOTOBA Slam Japan2023全国大会(優勝:坂本樹さん 準優勝:二条千河さん)にソマイア・ラミシュさんがゲスト出演。「詩には社会を変える力がある」とソマイアさんは語りました。19日には横浜市協働スペースでのシンポジウム。女性の人権や文化が脅かされているアフガニスタンの凄惨な状況等について討議されました。
https://youtu.be/zLXcLH6BroA
(【動画】アフガニスタンと日本の詩人による知性対話・言論の自由と女性の地位、社会の解放について 2023年12月19日)
 1600字のレポートには書ききれず、誠に申し訳ございません。本当に多くの方からのご支援ご指導を賜り、昨年一年間の『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』、Baamdaamdの活動を行うことができました。ご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。活動について2024年以降も様々な案が出されており、ご報告させて戴きつつ、実現すべく引き続き取り組んで参りますす。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

f:id:loureeds:20240127163538j:image

f:id:loureeds:20240127163531j:image

 

「メディアあさひかわ」2024年2月号に~旭川の詩誌「フラジャイル」第19号発行・詩集『詩の檻はない』の”後日談”も~…12月20日に発行した「フラジャイル」第19号について詳しく紹介戴いております。

📖「メディアあさひかわ」2024年2月号に~旭川の詩誌「フラジャイル」第19号発行・詩集『詩の檻はない』の”後日談”も~…12月20日に発行した「フラジャイル」第19号について詳しく紹介戴いております。心より感謝申し上げます。
 巻頭にゲスト寄稿を戴きました大木潤子さんの詩篇「現れるもの」、故永しほるさんの詩篇「補遺、あるいは別解」。
 朝伊ミチルさんの2作品、「アガル」「カレーとレモネード」のことも。
 2023年8月15日の『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM詩の檻はない』発行の経緯と8月24日の出版記念イベント「世界のどの地域も夜」(まちなかぶんか小屋)のトーク岡和田晃さん、二条千河さん、野口壽一さん、谷口雅彦さん、日野あかねさん、木暮純さん)、ソマイア・ラミシュさんのからの日本の詩人へのメッセージも収録。
 アフガニスタン在住の詩人、ファルフンダ・シュウラさんの詩篇「(あの事件の怒りと血のせいで私は心が塞ぐ)」(中村菜緒氏訳)を特別掲載。
  表紙は写真家谷口雅彦さんの写真集『日々の旅 1993-2002 谷口雅彦写真集 (ワイズ出版写真叢書16)』より。
 丁寧なご紹介を戴き、心より感謝申し上げます。
****
❄詩誌「フラジャイル」第19号(2023年12月20日発行)
・ゲスト寄稿に詩人大木潤子氏(『遠い庭』で第61回歴程賞をご受賞!!)を迎え、冒頭に詩篇「現れるもの」を掲載。さらに詩集『壁、窓、鏡』で第57回北海道新聞文学賞を受賞された故永しほる氏を迎え、詩篇「補遺、あるいは別解」を掲載させて戴きました。とても幸せな詩誌です。
・1月にタリバン暫定政権がアフガニスタンで詩作禁止令を発令したことを受け、アフガニスタンからオランダに亡命されている詩人ソマイア・ラミシュさんが世界の詩人へ向けて「抗議を表明するために詩を送ってほしい」という《世界のすべての詩人たちへ》メッセージを発信。ウエッブ・アフガンから日本でも拡散し作品を集め、日本人詩人36名、海外詩人21名の作品を収めた詩集『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』を8月15日に発行!amazonの詩集の新着ランキングでは全国1位となり、ペルシャ語版のBBC、英インデペンデント紙でも報道され、朝日新聞デジタルのコラム(玉懸光枝氏)でも紹介されました。9月には一般社団法人日本ペンクラブより正式に支持表明の声明を戴きました。11月にはフランス語版書籍がセシル・ウムアニ氏の尽力によりOXYBIA社より発行。12月にはKSJ全国大会へのゲスト出演でソマイアさんの来日が実現!!。活動の次元が急速に広がっています。
 詩誌「フラジャイル」第19号には8月24日に旭川まちなかぶんか小屋で開催した『詩の檻はない』出版記念イベント(世界のどの地域も夜)のトークを収録。岡和田晃氏(文芸評論家)、二条千河氏(詩人)、谷口雅彦氏(写真家)、日野あかね氏(漫画家)、野口壽一氏(ウエッブ・アフガン編集長)らが登壇し、今回の取り組みについてお話されました。
ソマイア・ラミシュさんの詩篇「(書け、とあなたは言った)」(日本語訳 木暮純 ・ 校訂 岡和田晃)、ソマイアさんから日本の詩人へのメッセージ、また、日本初公開となりますアフガニスタン、カブール在住の詩人ファルフンダ・シュウラ氏の詩篇「(あの事件の怒りと血のせいで私は心が塞ぐ)」のペルシャ語の詩を、イラン現代文学の専門家である中村菜穂氏による日本語訳で掲載しています。
・詩誌「フラジャイル」は旭川市内書店(ジュンク堂書店旭川店・こども冨貴堂・コーチャンフォー旭川店)、札幌では書肆吉成本店、小樽ではがたんごとんにて取り扱い戴いております(頒価600円税込)。
・オンデマンド版は書店版より少し割高になります(1,320円税込)が、amazon楽天ブックスよりご購入戴けます。
*****
詩誌「フラジャイル」 第19号 目次      2023年12月20日
表紙 谷口雅彦写真集『日々の旅1993-2002』ワイズ出版写真叢書15より
2 (ゲスト)現れるもの  大木潤子
6 (ゲスト)補遺、あるいは別解  故永しほる
10 (ゲスト)テールランプ  吉成秀夫
13 日本の詩人へのメッセージ ―2023年8月  ソマイア・ラミシュ
  (書け、とあなたは言った)  ソマイア・ラミシュ
16 世界のどの地域も夜 2023年8月24日 まちなかぶんか小屋
25 『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』 2023年8月~12月
26 Farkhunda Shulaの詩
  (あの事件の怒りと血のせいで私は心が塞ぐ)  中村菜穂訳
28 言葉が出ない  高細玄一
30 詩を息をするように書いている  丁章
32 人  澄川智史
35 ダイ  松本莉鼓
36 命題不覚忘却  界兀歩
42 キュビズムの虹  福田知子
44 水の支配者  川嶋侑希
46 観賞魚  鷲谷みどり
48 巻貝の女  木内ゆか
50 追憶  荻野久子
52 反響  冬木美智子
54 山師は疾し 3 サーカス  菅原未榮
56 赤い橋  二宮清隆
58 本と映像の日々42  山内真名
60 崖に一羽 鳴き声は聴こえない  うのしのぶ
62 小説 心売り  清水俊司
64 小説 母の声  中筋智絵
66 (ゲスト)朝伊ミチル     
  アガル(ロングロングロングライムバージョン)
  カレーとレモネード
70 来る日  枝松夏生
72 くん炭となる  小篠真琴
74 問題  木暮純
76 翼  星まゆみ
78 神無月に走水第二隧道   佐波ルイ
80 原野  金井裕美子
82 斜角  柴田望
83 (ゲスト)仄めかす風 (夏の色彩にゆれるもの)   詩・写真 土師一樹
84 はつ冬小句集  福士文浩a.k.a.ぶんじ
86 「語り版 白きうさぎ雪の山から出でて来て ~歌人、齋藤史とその時代~」
                 構成・脚色 那須敦志
88 ブック&ツリー 日野あかね 
90お知らせ  91受贈図書(御礼)  92短信

「メディアあさひかわ」2023年12月号に~今あらためて注目・時代を先取りした安部文学~鎌田東二先生をお招きした東鷹栖安部公房有志の会主催「安部公房没後30周年記念」特別講演について、見開きの詳しいレポートが掲載されていました。~安部公房の足跡残す”東鷹栖”で「没後30年記念講演」~

■本日1月22日は生誕100周年の安部公房の忌日。文芸評論家の高野斗志美先生が「自分が中国に行く直前に井上光晴が死に、日本に帰った途端に安部公房が死んだ、衝撃を受けた…」と仰っていたことを想起致します。
📖「メディアあさひかわ」2023年12月号に~今あらためて注目・時代を先取りした安部文学~鎌田東二先生をお招きした東鷹栖安部公房有志の会主催「安部公房没後30周年記念」特別講演について、見開きの詳しいレポートが掲載されていました。~安部公房の足跡残す”東鷹栖”で「没後30年記念講演」~ 心より感謝申し上げます。
 ↑【動画】特別講演 鎌田東二先生 安部公房ー仮(化)の文学 東鷹栖安部公房有志の会主催「安部公房没後30周年記念」2023年10月15日(日)
■2023年10月15日(日)、東鷹栖安部公房有志の会主催「安部公房没後30周年記念」特別講演に鎌田東二先生(詩人・宗教学者・哲学者、京都大学名誉教授)をお迎えし「安部公房ー仮(化)の文学」、世界的作家・安部公房ゆかりの地で記念すべき講演を開催できました。事務局として心より感謝申し上げます。
 旭川の文芸評論家・高野斗志美は「安部公房の文学は、たんに現実を描くのではない、現実を破壊するための仮説と実験の空間である」と論じました。その「仮説」、小説『壁ーS・カルマ氏の犯罪』の《とらぬ狸の皮算用》=仮説、国境も人間が作り上げた仮説にすぎない、ボーダー、我々が真実だと思っているものを一回取り外してみよう…ボーダーレスの感覚は、安部公房が幼少期を過ごした満州奉天という、当時、東京よりも都会であった、劇場のように、短い期間で築かれ、敗戦とともに失われた都市で育まれた…『燃えつきた地図』、『箱男』、『密会』…都市の文学、都市に存在の可能性を追求し続けた安部公房の創作の原点の秘密に迫るご指摘。父親の留学のため、奉天から東鷹栖村にやってきて、小学校2年生から3年生の1年半の間、満州と東鷹栖村を比べてどう思ったか。安部公房満州に比べると東京は田舎だと感じていました。
 鎌田東二先生が注目された『安部公房全集4巻』に所収の「奉天―あの山あの川」、「私はときどき自分が故郷の周辺をさまよいながらついに中に入れないアジアの亡霊であるかのような気持になってくるのだ。」、その「アジアの亡霊」という言葉からは安部公房が1954年に初めて書いた戯曲『制服』を想起しました。敗戦直前の北朝鮮の港町で、主人公や周りの登場人物が次々と幽霊として存在していく…三島由紀夫椎名麟三に激賞された戯曲でした。「アジアの亡霊」、まさにその感性の内部に触れるような言葉です。
 安部公房と同時代人である哲学者ハンナ・アーレントとの共通性、二人とも人間の条件、人間と非人間との差異や変形・変容に焦点を当てたというご指摘も嬉しく、ハンナ・アーレント安部公房も、ハイデガーから強い影響を受けました。『無名詩集』発行直前の若き安部公房の壮絶な詩論『詩人の運命』は存在論であり、ハイデガーの影響が色濃く見られます。ハンナ・アーレントが『人間の条件』を出版した1958年に安部公房は『第四間氷期』を出版、日本で初めてのSF小説、AIに支配される世界で環境変化に適合する水棲人間を創造することで人間の条件を問う…。
 近文第一小学校の安部公房の記念碑「故郷憧憬」(揮毫:保坂一夫氏)や、公民館の展示、川端康成から送られた手紙なども鎌田東二先生にご覧戴き、東鷹栖安部公房有志の会の会員メンバーともお話し戴きました。旭川市教育委員会の後援、東鷹栖公民館の共催を戴き、旭川市内でも話題となり、一般参加も多く、特別な会となりました。一同心より感謝申し上げます。

🌗« Global Poetry Night: A Stand Against Tyranny and Darkness in Afghanistan »  📖『詩の檻はない』、アフガニスタンの圧政と闇に立ち向かう世界的ポエトリーナイト。

🌗« Global Poetry Night: A Stand Against Tyranny and Darkness in Afghanistan »
 📖『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』、アフガニスタンの圧政と闇に立ち向かう世界的ポエトリーナイト。
🌝1月21日日本時間の午前4時より、予定よりとても早く…巻きましたが無事終了致しました!!世界各国の詩人が一堂に会する、地球を一周するような記念すべきイベントとなりました。
ご参加、ご協力賜りました皆様、誠にありがとうございました。
🖊フランスペンクラブの新会長に就任されたCarole Carcillo Mesrobianさんの多大なるご尽力により実現!
 ~Poetry is the freedom to think itself and the cornerstone of literary expression.~本イベントの開催にあたり、なんと、日本ペンクラブ獄中作家・人権委員会委員長中島京子様より連帯のメッセージを賜り、Carole Carcillo Mesrobianさんと私からご紹介させて戴きました。
 日本からはHarukaTunnelさん、二条千河さん、ゆずりはすみれさん、岡和田晃さん(葉山美玖さんの詩も朗読)、髙野吾朗さん、大田美和さん、野口壽一さん、佐川亜紀さん、森耕さん、元ヤマサキ深ふゆさんがご出演✨皆さんが世界の詩人たちの前で、本当に素晴らしい朗読と英語のスピーチを披露されました。
 日本の詩をフランス語に翻訳された高橋純先生のメッセージを柴田が代読させて戴きました。

 Carole Carcillo Mesrobianさん、Cécile Oumhani さん、Somaia Ramishさん、本当にありがとうございました!!

アーカイブはこちらからご覧戴けます。
https://www.youtube.com/live/CwyL4GmqYy4?si=b962TMrxGcmdr8oJ
フランスペンクラブのYouTubeチャンネルです。

🌓Today's event is truly amazing.It's a night that will go down in history.thank you very much.
Listening to everyone's wonderful readings made me think about what is most important for humanity around the world.
I am glad that we can move forward into a new era in solidarity with everyone.thank you very much.
Thank you for your cooperation today.
*

✤ message from Dr.Atsushi Takahashi ✤

For the great French poet Paul Éluard, "poetry" was a synonym for "freedom."
Following this poet's example, the ideology that seeks to suppress and eliminate “poetry” is, in other words, the ideology that seeks to suppress and eliminate human “freedom”. Politics that reflects this ideology is practiced in Afghanistan today, and we absolutely cannot approve of such politics. But there is something we must not forget. This unfortunate conflict between those who seek freedom and those who suppress it is not a problem that can be resolved only within one nation, Afghanistan. Behind this problem is a much larger political force that seeks to incite conflict within the same ethnic group, destabilize the country, and profit from this. The voices of protest demanding the freedom of “poetry” should not be used as a tool for such political power struggles. Those who suppress the freedom of “poetry” (in other words, the Taliban) may not actually know what that “freedom” is. If this is the case, our "poetic protest" is not limited to accusing them (our current adversaries) of their "poetic ignorance," but also demands their own "poetry, or freedom." I believe that it should also be a voice that calls out to others.
Pour le grand poète français Paul Éluard, la poésie était synonyme de liberté.

f:id:loureeds:20240121134341j:image
f:id:loureeds:20240121134344j:image
f:id:loureeds:20240121134347j:image
f:id:loureeds:20240121134350j:image
f:id:loureeds:20240121134331j:image
f:id:loureeds:20240121134335j:image
f:id:loureeds:20240121134338j:image

 

■フランス語版の『詩の檻はない』出版を記念したオンライン(Zoom)イベントが開催されます。

■フランス語版の『詩の檻はない』出版を記念したオンライン(Zoom)イベントが開催されます。
 パリ時刻で1月20日午後8時から21日午前8時《日本時間で1月21日(日)の午前4時から午後2時》。
 アフガニスタンにおける詩と芸術の禁止、闇と独裁に反対する世界各国50名もの詩人が参加します!
 (パリ時刻の)一晩で地球を一周します。フランスペンクラブとバームダード(亡命詩人の家)の共催です。
 昨年発行した日本語版『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』の出版も同時にお祝いします。

★日本からは12名の詩人がご参加の予定です。
Haruka Tunnel 22:50(日本時間6:50)
NIJO Cenka 二条千河 00:40(日本時間8:40)
Yoshiya Asato あさとよしや 1:50(日本時間9:50) 
Goro Takano 髙野吾朗 2:00(日本時間10:00)
Miwa OTA  大田美和 2:10(日本時間10:10)
Akira OKAWADA 岡和田晃 2:30(日本時間10:30)
Juichi Noguchi  野口壽一 2:40(日本時間10:40)
SAGAWA AKI 佐川亜紀 2:50(日本時間10:50)
Tagayasu Mori 森耕 3:20(日本時間11:20)
Sumire Yuzuriha ゆずりはすみれ
 23:30~1:30(日本時間7:30~9:30)の間のどこかでご出演
Motoyamasaki Mifuyu 元ヤマサキ深ふゆ 3:20(日本時間9:50)
Nozomu Shibata 柴田望 2:20(日本時間10:20)

 この度、フランスペンクラブ新会長に就任されたCarole Mesrobianさんの全面的なご支援により本イベントは開催されます。Carole Mesrobianさん、ソマイア・ラミシュさん、セシル・ウムアニさんと共に、日本時間の午前4時から14時まで、私もログイン致します。
 明日1月21日(日)午前4時より、フランスペンクラブのYouTubeチャンネルより本イベントをご視聴戴けます。ぜひ✨ 
https://www.youtube.com/@penclubfrancais4039

f:id:loureeds:20240120143537j:image
f:id:loureeds:20240120143540j:image
f:id:loureeds:20240120143543j:image

 

■「ウエッブ・アフガン」(野口壽一編集長)のアフガニスタンに関わる書籍や公開文献を紹介するコーナー《書籍/批評/提言》の冒頭に、旭川の詩誌「フラジャイル」第19号をご紹介戴いております。

■「ウエッブ・アフガン」(野口壽一編集長)のアフガニスタンに関わる書籍や公開文献を紹介するコーナー《書籍/批評/提言》の冒頭に、旭川の詩誌「フラジャイル」第19号をご紹介戴いております。誠にありがとうございます。『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』出版を記念し、8月24日に開催したイベント「世界のどの地域も夜」の様子もこちらからご覧戴けます。
https://webafghan.jp/studies/#fragile